7000番 夏様へ
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「で、なぜわたくしがここに・・・?」
ニコニコ顔の悠舜と、仏頂面の皇毅に挟まれ、春麗は悠舜を恨めしげに見てからそっと両側に酌をした。
悠舜に呼び出されて来た尚書令室。
その場では高官たちがー鳳珠も例外ではなかったが、いくつかの座に別れて酒を飲んでいた。
そして春麗は鳳珠の横ではなくー尚書令と御史台長官の間に座らされた。
幾分盃を重ねたであろう二人に挟まれて、とりあえずと飲まされる。
「たまにはこういうのもいいかと思いましてね。皇毅は秀麗殿の上官ですし」
「それは関係ないだろう」
仏頂面のまま、皇毅はボソッとつぶやいた。
「そうですね、わたくしと秀麗は茶州で離れていたのもありますし、秀麗が御史台に行ってからも話したのは一度か二度か…今どこにいるかも知りませんわ」
「知りたいとは思いませんか?」
「えぇ…命に関わることがあれば御史台に報告が入るでしょうし、官吏としてわたくしが何か対応することもないでしょうしね」
(少しつっぱねすぎたかしら?)
春麗はちょっとだけ不安になりながら、悠舜に向かって薄く微笑んだ。
「そうか」
皇毅がキュッと酒を煽ったのを見て、そちらにまた注ぐ。
「お前は飲まないのか?」
「いただきますよ、でも潰されたくないのでゆっくりと、ですが。お酒は管尚書が選ばれたのですか?」
「選んだというより、勝手に持ってきたという感じですね。ちなみにこれは皇毅が持ってきたものですよ?」
「まぁ」
ほんの少し口をつけて、「あら、おいしいですわ」と皇毅に向かって微笑んだ。
ほんのわずかな間、じっと春麗を見た後、「そうか」と言って皇毅も盃に口をつけた。
かたや反対側では・・・
「飛翔、間違えてもリオウに飲ませるなよ」
「わーってるって、流石に俺もそこまではやらないぜ」
「玉蓮に飲ませようとした前科者だからな、信用ならん、私は見張り役だ」
「そ、そうなのか…」
飛翔が豪快に飲んでは瓶を空にしていく様子にいささか引きながら、リオウは鳳珠の仮面を見つめた。
(まぁ、あの席だったら気にはなるな…)
仮面の角度から視線の先を捉えて小さくため息をつく。
どうやら、左を向いているときはそうでもないが、右を向いた時に殺気立っている。
(葵皇毅、か…)
時々、何かを探るような、そして心配するような眼で自分を見つめてくることがあるのが、リオウは気になっていた。
「どうした?」
顔が向いていたのに気がついたのか、隣の鳳珠から声がかかった。
「いや…あの視線は俺も苦手だ…、と思ったまでだ…」
「俺、も?」
「…なんでもない」
手前に置いてあった果実水をぐびっと飲む。
(これが酒だったらもうちょっと格好がつくんだろうな)
少し情けない気持ちになって、リオウはため息をついた