Rayお礼SS
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お礼SSです
登場人物;家令、瑞蘭、瑞蘭母
邸の主人夫婦がいつものように出仕している日中、一台の俥が貴陽黄邸に入っていった。
「…母上…何、しに…?」
「瑞蘭、久しぶりね」
瑞蘭は黄州の大旦那の邸の侍女頭である母から、何の知らせも受けていなかったことに、あからさまに不機嫌な表情で後ろから出てきた家令を見る。
「おや…おいでになることは知らされていなかったが?」
家令は流石に態度に出すことはしなかったが、自分も知らなかったと瑞蘭に暗に告げた。
「えぇ、何も言わずにきましたもの。今回は坊っちゃまや奥方には会わないつもりだし、宿に泊まって用事をいくつか済ませたら帰るわ」
来て早々、帰る話をされて二人は不思議そうに顔を見合わせた。
「まぁ、話は中でしましょうか…」
と使用人が使う応接に通す。
「坊っちゃまがご婚姻されたでしょう?でも来なくていい、って書かれてしまった手前、御館様も奥方様も、こちらには来れなくて、でもやはり坊っちゃまのことが気になっているみたいで…で、私が様子を見にきた、っていうわけ」
「母様、心配しなくても文に書いた通りですよ?御館様はそれはもう姫様…いえ、奥方様のことを大切になさっているし、姫様はお仕事もお忙しいのに、時間のある時は御館様のお世話も手伝われて、大変仲睦まじく過ごされていますわ、ねぇ?」
と気がつけば姫様呼びなことに気づかずに、家令に促す。
「はい。そこはもうご心配なく。喧嘩もなさいませんし、こちらが照れるほど仲睦まじく過ごされておりますから。はじめに連れてこられたときはそういう感じもあまりありませんでしたけどね」
「でも御館様は初めから姫様のことをとても大切になさってましたよ?まあご友人の紅黎深様が目に入れても痛くないほど可愛がっている姪御さん、というのもあるでしょうけれど、もしかしたら…以前からよく知っていらしたのかもしれませんね」
瑞蘭はその頃のことを思い出しながら話した。
「あぁ、瑞蘭は知らなかったのか?姫様が来られる半年ほど前に、大勢客が来て騒ぎがあったじゃろ、あの時に姫様は侍童の格好でいらしてたらしい。最も、私も気づかなくて、ずいぶん経ってから御館様から聞いたんだがね。あの時は、御館様がついに男の子に興味を持ったかと心配したが、あれが姫様だったそうな」
「エエェ〜〜〜、あの、朝、俥に乗る乗らないってやってた侍童ですよね?姫様、どうやって体型や顔を変えていたのかしら?今度聞いてみなきゃ!」
「ちょっとだけ覗き見たのだが、庭で捕物があった時に、お客人たちに混ざって戦ってたぞ」
「まぁ!」
家令と娘の会話の内容にも驚くが、そこからずっと”姫様”と呼ぶ奥方の話をしてばかりの二人に、すっかり会話から置いていかれて頭を抱える。
(どうやら、”姫様”はずいぶんとお転婆な方のようね、坊っちゃま、大丈夫かしら??)
まだ見ぬ”姫様”の印象が、実態とだいぶ違う方向に行ってしまったことを、まだ瑞蘭も家令も知らない…
2022.02.04 立春〜
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