「とまぁ、こんな感じで」

と、秀麗の赤い頬をみて満足げに楸瑛は言って一度席についた。

「そうやって、後宮女官やら黄州府にいる女人を誑かしているのですね…」

「たぶらかすって、そんなつもりでは…」

「春麗にそう言われるのも自業自得だ。お前は海より深く反省しろ」

絳攸は呆れ顔で嗜める。

「でも、今のは確実に口説く時だったり、恋人に対しての所作で、いわゆる洗練されているものとは少し異なる気がしますわ」

そもそもの設定に、春麗はダメ出しを始めた。

「確かに、そうですね」

静蘭も同調する。
それを受けて絳攸は思い出したように言った。

「いつだったか見た、黄尚書が春麗を付き添う（エスコートする）姿、ああいうのが洗練された所作じゃないのか？」

「いつでも自然なのであまり意識したことないですけど、そうかもしれませんわね。でも、秀麗に対してだったら静蘭も普通にやってますわよね？」

「私はお嬢様方に対しても、他の女人に対しても大きくは変わらないと思ってますよ？」

「そういえばそうね、茶州にいた時、凛さんや香鈴に対しても、静蘭あまり態度変わらなかったもの」

「と、いうことは、洗練された（スマートな）所作で秀麗の関心を買おうとしても、秀麗はその扱いを受けることに慣れているということだな」

春麗と静蘭、秀麗の言葉を受けて、絳攸が結論づけた。