黄家お宅訪問
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帰った時には両家の対面は終了していた。
(ちょっと見てみたかったのに)
と春麗は思ったが、比較的和やかな空気にホッとする。
「玖琅叔父様、お久しぶりです」
鳳珠と揃っての挨拶が済んでから、春麗は玖琅に声をかけた。
玖琅の筋書きでは春麗と絳攸を結婚させるというものがあったが、それをさっさと蹴って自分の兄と同じ歳の変わらない黄奇人と結婚したことはあまりよく思っていないだろう。
玖琅のことなので済んだことにとやかくいうタイプではないが、春麗は玖琅の少し引き攣った表情を見て、その思いを察してしまった。
「ご挨拶が遅れて申し訳なく思っております」
春麗は丁寧に玖琅向かうと、仮面を外した。
邵可と黎深の弟であれば大丈夫だろうというのと、自分があまりよく思われていないことは理解していたので、せめてもの誠意を表したつもりだった。
「これは…」
玖琅はほぅ、と小さくため息をついた。
(ここまでの美貌とは…隠したくなるのもわかる…それから、百合義姉がときめいたというのも…)
遠い昔を思い出したように玖琅は少し遠くを見てから視線を戻した。
(あの時、ありったけの金を注ぎ込んでおいてよかった。黎兄上にはやはり百合しかいない。だが春麗も…)
「鳳珠殿にはいつも黎兄上が迷惑をかけてます。それから、春麗のことも…」
玖琅はあまり思っていなかったことが口から出て、少し驚いた顔をした。
(黎兄上のことを考えていたからか?)
「玖琅が黎深を気にするなんて珍しいね。まぁ鳳珠殿には本当に黎深と春麗は迷惑をかけ続けているから…身内としては頭が上がらないよ」
邵可が笑いながら玖琅の言葉を拾った。
「まぁ黎深は…」
否定しないことが肯定、とばかりに言いかけて口をつぐんだ鳳珠に、春麗は笑いかける。
「本当に。黎深叔父様は今回はお留守番なんでしょう?父様、どうやって黙らせたの?」
「簡単だよ、約束を破ったら春麗と秀麗の采は二度と食べさせない、ってね」
「あぁ…」
誰もがそう言われた時の黎深の様子を思い浮かべて一斉に吹き出した。
春麗はひと段落したところで玖琅に寄って行った。
「玖琅叔父様、来てくださってありがとうございます、嬉しいですわ。それから、事情があって父様と黎深叔父様にはご了承いただいていたとはいえ、勝手に婚姻を決めてごめんなさい」
「私の思った形ではなかったが…なかなかいい婿殿を捕まえたと思っている。それから…春麗は普段は何も言わないが、基本的には自分で決めるし、決めたことは曲げないことはわかっている」
「まぁ」
「鳳珠殿は全て承知でお前を、と言ってくれたんだろう?その様子だと、大事にしてもらっているようで安心した」
邵可と話している鳳珠が時折愛おしそうに春麗を見ている視線を目の端で捉えながら、玖琅はポンと春麗の頭に手を置いた。
春麗は玖琅と話ができたことで、心のどこかにつかえていた想いをやっと下ろすことができた気がした。
おしまい
〜〜〜〜
結婚式編は後日!(星蘭)