黄家お宅訪問
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「お懐かしい!立派になられて!」と涙を流しながら駆け寄ってきた庭師の話を総合する。
(なるほど、鳳珠様のお庭を作られた黄家の庭師さんで、その時にお隣にいらした州尹が鳳珠様のお庭を気に入って、壁隣の州尹邸のお庭もお願いして作ってもらった、ってことね)
どうやらその州尹が異動してからも、そのまま後任の州尹たちに頼まれて手入れをしているらしい。
州牧邸の庭よりも立派で品がいいと評判で、年に一度、州尹主催の花見の宴が催されるほどの、黄家の邸以外では黄州一の庭院と有名なようだ。
鳳珠が春麗を紹介すると、「噂の若い奥様が…しかも坊っちゃまに負けないぐらいの美貌の奥様が…」とまた泣かれて鳳珠が苦笑いした。
「ところで、
「若奥様の花壇ですか?それは坊っちゃまの庭の一番奥ですよ、まだご覧になっていないですか?」
「あぁ、その前に、春麗がこの扉に気がついてしまったからな」
クスクスと笑ながら、鳳珠は再び仮面をつけた。
州尹邸の方から、声が聞こえたからだ。
「お噂では、仮面なんぞかぶって、奇人と呼ばせていると聞きましたが、本当にそうだとは…」
お綺麗なのに勿体無い、と庭師はガックリと肩を落としている。
「この方が気楽だ」
フフ、と笑ってから邸の庭に戻り、その花壇に向かう。
一番奥の木戸の横に薔薇の花壇があった。
「この先は母家の庭に繋がっている。あいにく、下手に入られると面倒なので、ここにも木戸をつけた」
鳳珠の説明を聞いて、春麗は少し表情を曇らせた。
(そんなに少年時代の鳳珠様のお顔は見てしまった者を狂わせてしまったのですね)
「いくつかの種類を混ぜて植えていると聞いているが、まだ咲いていないものもあるようだな。紅薔薇が多いか…」
鳳珠がまた仮面を外して少し顔を花に近づけて確認をしていく。
「鳳珠様…」
「ん?どうした?」
「いえ…」
春麗は赤い顔をして俯いた。
鳳珠の破壊的な美貌の前ではどんな綺麗な薔薇も霞んでしまう、と久々に夫の顔にクラクラしてしまったのだった。