悪夢の奥様会
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「春麗、采の腕を上げたね」
「これは春麗姫が作られたのか?すごいな」
春麗は鳳珠以外の人に褒めてもらって嬉しそうに微笑んだ
「まだ小さい頃に、黎深叔父様のお邸で習ったのがきっかけなんです。今日は紫州、紅州、茶州、黄州の采を作ってきました。茶州のは帰った時に秀麗が作ったのを見よう見真似なので、違うかもしれませんが」
「いや、十分だよ。最近食べてなかったから懐かしいね」
凜が褒めてくれたので、春麗はほっと胸を撫で下ろした。
「悠舜さんと凜姫は長いお知り合いだったんでしょう?」
百合が聞いてきた。
「えぇ、私はずっと旦那様のことが好きで、挨拶のように告白してはずっと振られてきたんだ。これで最後、という時に応えてくださって。十年かかったよ」
春麗は自分に置き換えて、一瞬眉間に皺をよせた。
「でも、茶州は不安定で危険も多かったと聞きましたから…悠舜様は当然狙われるお立場でしたし、凜姫を危険な目に合わせたくなかったようですよ」
「へぇ、春麗、よく知ってるね」
「実家に居候していた元茶州州牧から…悠舜様が新年に来られた時に文にお二人のことが書いてあって」
えらく読みにくい文だったのを思い出してクスリと笑う。
「百合姫はどうして黎深殿と?」
「私は紅家にいて、叔母が決めたのはもともと邵可様の婚約者だったんだけど、婚約破棄されてね。そのあと黎深の傍付きをしていて…国試で会った時に顔に耐性があったということで、鳳珠さんと出かけたりしたんだけど、すったもんだあった挙句、犯罪まがいのことで無理やり黎深の妻に」
「叔母様、それ端折りすぎですわ」
「だって話すと長くなるもん。邵可様は初恋の人で結局振られちゃったし、ちょっとときめいた鳳珠さんのことも傷つけちゃったし…ぜんぶ黎深のせいだ!」
百合は思い出して腹立たしくなったのか、握り拳を作って自分の膝を打った。
「とは言うものの、私は色々あって紅家から出られなかっただろうから、これでよかったと思っているけどね」
「旦那様も黎深殿の奥さんは百合姫しかできない、って言ってましたから」
「あはは。そうだろうなぁ、唯我独尊我儘大王だから」
「でも黎深叔父様、百合叔母様のこと大好きですもの。叔母様が貴陽にいると公休日はベッタリだし、なんでも自分でできるのに世話させたり、逆に他の人にはさせないし、叔母様が貴陽にいないといないで淋しいからってしょっちゅう鳳珠様のお邸に勝手に入ってきてるし。昔からみたいですよ」
ニコニコと春麗が暴露する。
「ちょ、やめてよ春麗!」
「ほぅ…それは意外なことを聞きました」
楽しそうに凜は笑った。
「わたくし、小さい頃に黎深叔父様のお邸にいたでしょう?うちの両親も秀麗の調子がいい時はベッタリだったし、叔父様たちもそうだったから、夫婦ってそんなものなのかな、って思ってましたわ」
「ふーん、じゃあ春麗と鳳珠さんはそんなものなの?それとも違うの?」
百合はニヤリと笑って聞いてくる。
春麗はボン!っと赤くなってから
「秘密です…」
と小声で言って、手で顔を覆った。