Girls Talk〜後宮編
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遡ること一刻前。
かねてからの約束通り「後宮お茶会」に呼ばれた紅春麗はその場にいた。
並べられているお菓子は最高級のものばかりである。
「騒動の時の馬の指導以来じゃない?ゆっくり話をしてみたかったのよ」
十三姫はニコニコとしながらお茶を淹れる。
他にも三名の女官がおり、二人は薄い藍色系の衣、一人は秀麗の貴妃の賃仕事の際に顔見知りになっている者だった。
(十三姫が連れてきた女官が二人…でも別に紅家や黄家の情報を取ろうとしている気配は感じなわね)
一瞥して判断をしたものの、少し身構えてから春麗は口を開いた。
「お招きありがとうございます。楽しみにしておりましたのよ」
着ているものこそ官服だが、普段の礼部侍郎というよりはわずかに紅家の姫らしく丁寧に挨拶をすると、その美しい所作に女官たちから羨望のため息が漏れた。
勧められた椅子に春麗は腰掛けた。
「いただきます」
「なんとなく、春麗ちゃんにはこの薔薇が似合う気がしてね」
発酵茶に薔薇の花を加えた、香りのいいお茶だった。
十三姫のことだ、母の情報も加えたことだろう、と春麗は柔らかく微笑んでおく。
「それにしても…」
一人の女官が口を開いた。
「本当に紅侍郎はお美しいですわね。貴陽で一、二を争う美貌じゃないかしら?」
「そうよねぇ」
「まぁ、そんなとんでもない…」
(貴陽どころか彩雲国一の美貌の人なら知ってるけど…あとは胡蝶姐さんと母様ぐらいかしら?)
頭の片隅で考えながら、やんわりと首を振って春麗は苦笑いする。
「黄尚書はお元気?」
十三姫が聞いてきた。
「えぇ、今日もまだ仕事していますわ。わたくしは戸部も兼務しておりますから、いつも昼からは戸部の仕事なんですけれど、今日は早めに上がらせていただいたんですの」
「ねぇ、春麗ちゃんは黄尚書のどこが好きなの?」
「えぇ?紅侍郎は黄尚書と恋仲なのですか?」
女官たちからキャァと黄色い声が上がる。
(珠翠が以前、鳳珠様が後宮女官に人気があると言ってたけれど、十三姫がきてからの人は知らない、ということかしらね?)
春麗は少し疑問に思いながら、その要素を見つめる。
「黄尚書って仮面被られていて、お仕事も厳しくて、とっても怖いともっぱらの噂ですけれど、紅侍郎にはお優しいのかしら?」
「そうじゃない?だってこんな美人が恋人だったらもう自慢したくて仕方ないはずよ、ねぇ」
「普段が厳しい方が自分にだけ優しいって嬉しいですわね。そういえばいつだったか主上は本気で怖がってましたよ」
(えっと、あちらの方が美人ですけどね・・・そして、主上は自業自得です)
女官たちの声を聞きながら、春麗はなんだか居た堪れなくなって、また引き攣った表情で笑った。
「それで、紅侍郎は、黄尚書のどこに惹かれたんですの?」
「えっ…」
十三姫の言葉をかわしたと思った後の別の女官からの質問に、春麗は黙ってしまった。
(どこって・・・言われても・・・)
「えっと…全、部?」
「キャァァァ」
また黄色い歓声が上がる。