新婚旅行
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明日は
「こちらでお着替えいただき、まずお風呂に入ってゆっくりされてください」
少し年嵩の女性に案内され、春麗は準備をして室に入った。
色とりどりの綺麗な花が浮かんだ湯船に浸かり、ほぅ、と息をつく。
(この香油は何かしら?いくつか混ざっているのかもしれないけれど、いい香り…)
旅に出てからゆっくりと滞在しているはずなのに夜の疲れか少し眠気が出てきて、あぁいけない、となる。
邸でお湯に浸かっている時よりは早く、そろそろと切り上げられる声がして少し残念に思いながら、春麗は湯から上がった。
「先ほどのお湯はとてもいい香りでしたが、何だったのでしょう?」
「あぁ、あれはいくつか混ぜているんですよ。お気に召したようでしたら、お持ち帰り用に準備しておきます」
「ありがとうございます」
言われた通りに寝台にうつ伏せになり、されるがままに施術を受ける。
春麗はふと気がついて声を出した。
「あの…?」
「どうかなさいましたか?」
「いえ、なんでもないです。とても、気持ちいいです」
「それはありがとうございます」
(気持ちいい…けれど、この手の動き、瑞蘭たちに似ている…黄州のお邸にいた方と鳳珠様がおっしゃっていたから、みんなも向こうで習っていたのかもしれませんわね)
最近、以前ほど鍛錬もしていないし、そんなに疲れていないだろうと思っていたが、旅に出てからの鳳珠との濃密な時間による疲れもあったためか、半分うとうととしながら、春麗は心地よい時間に身を任せた。
仰向けになり、顔も頭もほぐされる。
施術をしてくれていた年嵩の女性の小さなため息が聞こえ、春麗はハッとした。
(そうだ、鳳珠様が…)
鳳珠がつけた跡を見られるのは恥ずかしかったが、そんなことは言っていまさら隠す間も無く、まな板の上の鯉のようになすがままになっていた。
(向こうでお式があるなら着替えの時に見られるでしょうから、絶対ダメって言っておかないと)
眉間に皺が寄ったらしく、指で軽くほぐされて、また恥ずかしい思いをすることになってしまった。
(こういうのは、慣れないものですわね…)
癒されにきているはずなのに、途中からはどこか緊張したままの春麗だった。