新婚旅行
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鳳珠は手前の林檎の形をした菓子を手に取って食べた。
「ほう、少し酒が効いているようだな」
焼かれて甘くなった林檎が中に入っている。
「意外性があるのも面白いですけれど、やはり見てそのままわかるのもいいですわね。このお菓子…」
春麗は咀嚼しながら少し斜め上を見ながら首を傾げてから、何か思いついたのか、パァッと明るい表情になって、満足げに微笑んだ。
たくさん食べると夜が食べられないから、と鳳珠といくつかのお菓子を半分ずつにして少しずつ味見をする。
支配人から受け取った説明の書かれた紙を見ながら、春麗が意見を出した。
「こちらはいいですけれど、こちらはもう少しお酒を控えた方が良さそうですね。あと甘いものばかりだと飽きてしまうので、少ししょっぱいものもあるとよろしいかと思います」
「ご婦人方は甘いものかもしれないが、付き合う旦那のために酒にあう菓子があっっても面白いかもしれないな。春麗もよく酒に合わせて菓子を食べているだろう?」
「そうですわね…貴族の奥様方って普通はあまりお酒は召し上がらないのかしら?」
「さぁ…?他の家のことはよくわからないな。黄家の女人たちは強いのが多いが…」
支配人は小さな紙に言われたことを書き留めながら「良いことを伺いました」と相槌を打った。
「次は紅州と藍州、茶州に同じ形態の宿を出す予定になっていますので、そちらに申し送りしておきましょう」
「茶州か?」
鳳珠が少し不思議そうな表情をした。
「確かに、印象としてあまりこれといって豪奢なことは何もないところですけど…」
「最近は、有能な若手の医官や研究者が集まっているので、急成長しているのですよ。そこに目をつけている貴族も多く、人の出入りが活発になっているそうです。人件費も安くできるのでその分、価格設定を少し下げて長期滞在者も取り込めるようにするとか」
支配人の説明になるほどな、と頷いてから「真似をする家が出てきそうだ」と鳳珠がつぶやいた。