新婚旅行
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
午過ぎになってようやく動けるようになった春麗は、鳳珠に手を引かれてゆっくりと湖畔沿いを歩いていた。
心なしか不機嫌そうだったが、散策に出ると少し機嫌が治ってきたようで、仮面がわりにつけていた綾布の下で鳳珠は少しホッとした表情を浮かべた。
足元を取られてよろっとした春麗をさっと抱きとめる。
「ごめんなさい、鳳珠様」
「いや、大丈夫だ」
甘い声で耳元で囁くと、春麗は少し赤くなって顔を背けた。
「どうした?」
「・・・なんでも、ないです」
(急にそんなに力強く抱かなくても…)
赤くなっているであろう耳が見たくて、鳳珠は春麗の髪に手を伸ばして耳にかけた。
予想通り、である。
「春麗が可愛いのが悪い」
綾布を取りながら腕の中に抱きしめて顎を掴んで上を向かせると、春麗は反射的に瞳を閉じた。
しばらく鳳珠はその顔を満足げに眺める。
いつまでも降りてこない唇に不審に思った春麗が瞳を開くと、ちゅ、と額に口づけが降りてきた。
「ここは、また後で」
少し尖った春麗の唇に指をちょんと当てて、鳳珠は綺麗に笑った。
最も、歯止めが効かなくなるので自制しただけだったのだが、少し淋しそうな春麗の表情に口角を上げると、そのまま少しだけ春麗を抱く腕に力を込めた。
湖に目を向けると、遠くに子供たちが中で泳いで遊んでいるのが見えた。
「鳳珠様、ほら、あそこ。わたくしも湖の中で遊んでみたいです!」
「春麗の身体を他人に晒すなんてダメだ!」
(・・・ですよね、はしたないですものね・・・)
しょんぼりした春麗に少し笑いかけてから、「また足ぐらいつけてみるか」と鳳珠は提案した。
沓を脱いで衣の裾を少し上げて、ピチャピチャと水辺を歩く。
「鳳珠様に初めて遠出に連れて行っていただいた時も、湖に足を入れましたね。暑い時期は気持ちいいでしょうね」
「あぁ、そうだったな」
「ここに露台があったら、こうやって足をつけてお茶をしながら景色を見るのも、涼しさを感じていいかもしれませんね」
「暑い夏は喜ばれるかもしれないな、少し行儀が悪いが、昼寝ができるような設えもいいかもしれないな。後で提案しておこう」
鳳珠は春麗の膝枕で寝た時のことを思い出してニヤリと笑って言った。