新婚旅行
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あっという間に時が過ぎ、休みが始まった春麗は鳳珠と共に馬車に揺られていた。
「旅籠に着くまでに馬車だと二日かかるから、一泊は途中の普通の旅籠に泊まる。次の日には目当てのところでゆっくり四泊、そこから一日で黄州府だ。知っての通り黄州は狭いのもあるが、北の方は山だから州都は紫州に近い」
「黄州は貴陽から一番近いとはいえ、それでも泊りがけになるぐらいは遠いのですね…」
「あぁ、そうだな…結局、官吏になってから一度も帰れていないが、さてどうなっているかな…」
鳳珠は少しだけ遠い目をした。
「今回逗留する黄家がやっている旅館とは古くからあるのですか?」
「いや、どうやら新しく始めた商売らしい。で、泊まってみてしっかり報告をするようにと言われている。景色のいいところで温泉も出て、かなり贅沢で貴族を相手にするようなところで各地に造ろうとしているらしい」
「まぁ」
「庶民からの反感がないといいのだがな、と思ったのだが、地方都市の雇用促進も兼ねているようで、地元では歓迎されたとか」
黄家はその辺は抜け目ないからな、といささか自嘲気味に鳳珠は答えた。
「そんな贅沢したことないから、想像もつきませんわ。どんな感じなのかしら?楽しみですわ」
春麗はふんわりと笑った。
「そこでは…」
隣に座る春麗の髪をそっと耳見かけて鳳珠が囁いた。
「二人きり、だ。瑞蘭たちは先に
膝の上に置いていた手で裙をキュッと握った春麗は少しだけ赤くなって俯いた。