豊作御礼大祭典!?
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カタカタと俥は走り出す。
仮面の男ー戸部尚書の黄奇人こと黄鳳珠は、ふぅ、とため息をついてから仮面を外した。
「あの、お久しぶりです、鳳珠様。それから、送っていただいて、ありがとうございます…」
春麗は小さくお礼を言って、頭を下げた。
「あぁ…いや、構わん…姮娥楼を手伝っていると言っていたな?」
(やっぱり避けられないわね…でも、”秘密の琵琶姫”は言えないけど、嘘はつかない程度に話しておきたい…妓女じゃないけど見習いって思われても困るし…)
何やら難しい表情をくるくるとさせる春麗を見て、鳳珠はクスリと笑った。
「大丈夫だ、お前が妓女やその見習いをしているとは思っていない」
「あ…」
春麗はカッと赤くなった。夜目で顔色までバレなくてよかったと心の中でため息をつく。
「ご存知の通り、今の
「そうか…」
(百合姫も姮娥楼だったな…何かと縁があるのか?でもまぁ妓女ではないというから、偶然かもしれん)
鳳珠は窓の外の遠くを見ながら一瞬だけ過去に意識を飛ばしたが、すぐに前を向くと、不安そうな表情になった春麗が目に入った。
何か言いたそうにしているが、なかなか言い出さない。
「今日は飛翔に…あぁ、工部の管尚書だ。飛翔に酒を飲むから付き合え、と連れ出されて…たまにはこういうところもいいだろうと姮娥楼へ行ったんだ。前に行ったのはもう十年以上前になる」
春麗は少し表情を緩ませた後、また少し硬い表情になった。
「もともと、泊まるつもりもなかったし、飛翔の気がある程度すんだ時点で先に帰るつもりだったからな。ところで、今少し生活が大変とのことだが、大丈夫か?また侍童でくるか?」
「あ…いえ、もうすぐ、豊穣祭の女装大会があるので…本当は静蘭を送り込むつもりだったんですけど、警備になってしまったとかで、代わりに秀麗が頼み込んで藍将軍と李絳攸が出ることになったので、何らかの景品は入手できるかと…」
「ほぅ…」
「秀麗は、米俵百俵を狙ってるみたいですけどね」
拳を振り上げてノリノリなんです、と思い出したのかクスクスと笑い始めた様子に、鳳珠もそれを想像して笑った。