豊作御礼大祭典!?
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追いかけようとしたせいで急いだせいか段を踏み外しよろけた春麗を、仮面の男が咄嗟に捕まえて抱きかかえる。
「駆けると、危ないだろう」
「も、うしわけございません、ありがとうございます」
振り払おうとするが、しっかりと掴まれた腕はそう簡単には解けない。
様子を見ていた胡蝶がクスリと笑った。
「いけませんね、旦那様。ここで無理強いをするのはご法度ですよ。ましてや、その娘は妓女じゃない」
「…あ、あぁ、すまない」
「姐さん、わたくしがいけないんですわ。慌てて走り出したからよろけてしまって」
「ふふっ、見てたからわかってるよ、そんなことは。可愛い娘だねぇ。旦那様、この子は私の娘みたいなもんなんだ。手伝いに来てもらっていてね。もし旦那様がおかえりだったら、送ってあげてくれないかい?」
「こんな夜道に、一人で帰るのか?全く…わかった。私の俥で送ろう」
「ありがとうございます。お礼はお次のご登楼の時にでも…」
「いや、礼は…不要だ。さっき、いいものを聴かせてもらったからな」
くるりと男は向きを変えた。
「えっと、あの、一人で大丈夫です!」
「ダメだ。あの者の大切な娘なんだろう?」
「でもっ」
(俥で二人になったら、琵琶姫のことを聞かれてしまう・・・)
春麗はぐるぐると言い訳を考えていたが、そのまま手を取られて階段を降りてしまった。
「旦那様、私の娘をくれぐれも頼みましたよ?」
「とって食おうと言わないから安心しろ、責任を持って送り届ける」
「じゃあ春麗ちゃん、また明後日ね」
「はい、姐さん…ありがとうございました」
もはややむなし、と観念した表情で、春麗は後をついて俥に向かい、手を取られて乗り込んだ。