新しい商売ーその1
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鳳珠と春麗が仕事を終えて帰邸したところ
「ご依頼のものが届いております」
と家令から知らせが来た。
食事を済ませた後、鳳珠と春麗が最近”仕事場”として利用している一室に運び込まれていたそれは室内に奥にはかなり立派な木だった。
「ほ、うじゅ様?これは??」
春麗は木とその下にたくさんおいてある箱を見て不思議そうな表情で見上げる。
「まぁ、茶でも飲みながら話すか」
という鳳珠の一言で、お茶の用意をして、家人たちが退室する。
仮面を外して温かいお茶を飲みながら、ゆっくり話し始めた。
「遠いどこかの国で、”くりすます”というのがあって、木に綺麗な飾り付けをすると聞いた」
「”くりすます”とやらは、祭事みたいなものなのかしら?」
「そのようだ。なんでも、その国の仙に当たる人の誕生を祝う日らしい」
「それで、木を用意されたのですか?」
「あと、子供には”さんたくろーす”という赤い服を着て白い髭のおじいさんが贈り物をくれるそうだ」
赤い服…と聞いて、黎深がひげを付けた姿を思い浮かべた春麗はププッと小さく笑った。
「私もあいつが浮かんだが、どうにも贈り物なんぞくれなさそうだな」
顔を見合わせて笑う。
「もう一つ、その”くりすます”は恋人とか家族に贈り物をしたり、美味しいものを食べて過ごすそうだ」
「まぁ、それは素敵ですね」
「と、いうのを聞きつけてな…どうやら黄家が商売にしようとしているらしい。全く、仕方がないとはいえ、子供の夢を壊すようなものだな…」
少し苦々しく鳳珠がいった。
「それで、この木と飾りがたくさん届いた、と?」
「あぁ、飾り付けをして、絵師に書いてもらうように、とのことだ」
「まぁ…それは大変ですね。でも、飾りつけ、楽しそうですわ。せっかくですからやってみません?」
春麗は少しウキウキとして鳳珠に話しかける。
「私たちが、か?」
使用人にやらせるつもりだった鳳珠は、少し驚いて春麗を見た。
「だって、新しいお祭りの先駆者になれるなんて、楽しいじゃないですか」