黄家当主ひとり語り
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面会中をものともせず、入ってきた見目麗しい初老の男に、周囲の視線が集まる。
鄭悠舜と白雷炎の目が大きく見開かれ、二人は顔を見合わせた。
「なんだ?」
「”黄家当主”に宛てた文を預かっていてね」
「鳳珠からか?」
「いや、違う」
”鳳珠”の言葉に反応した二人は、妙に納得した顔を見合わせてから、こちらを向いた。
鳳珠の顔を知っている官吏は、鳳珠の同期とそれより前に仕官したものを除いては、景柚梨だけだと聞く。
”彼”が何者か、二人は悟ったに違いない。
事実、李絳攸は、不躾に入ってきた男に、あからさまに不満そな表情を浮かべていた。
「これだ」
渡された文の表書きに書かれた文字は、見慣れないものだった。
持ってきた主に目線で誰だ?と尋ねたら、そのまま開くように黙って促された。
面会中だが断ることもなく、文を開く。
(ほぅ…)
全く予想外の…だが、
ある一文に目を止める。
しばらく目を閉じて考えたが、徐に顔を上げて最後まで読んだ。
「どうする?」
ややあって、目の前の男は答えを促した。
面会に来ている李絳攸、そして鄭悠舜を見る。
李絳攸は緊張した面持ちで、そして鄭悠舜は考えを読ませない柔らかい表情で…だが視線は鋭く、真っ直ぐにこちらを見据えた。
今がその時、か…
立ち上がり、彼らに一歩近づいた。