はじめての贈り物
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「春麗、いるかい?」
適性試験の近くなったある日、自室で黎深から届いた本を読んでいた春麗は、声をかけられた。
「父様、なぁに?」
「文がきてるよ」
渡されたのは文箱と小さい白い花
滅多に文のこない春麗は、お文にお花を添えてくださるのは…と差出人を思い浮かべるが、文箱に入ってきたことは一度もなかった。
持つと、文だけにしては重量感がある。
「これ、本当にわたくしに?」
「あぁ」
ほんの少し複雑な表情で、邵可は答える。
不思議そうな顔をした春麗に、邵可はもう一つ持っていた白い料紙の文の裏側を見せる
「秀麗には、こっち」
差出人は、黄奇人
(やっぱり鳳珠様から…)
とは思ったものの、文箱の謎は解けず首を傾げてから
「お返事待たれてるかしら?」
と確認をする。
今まで一度も待たれたことはなかったが。
「いや、帰られたよ」
「わかりました、ありがとう父様」
受け取って、室の扉を閉めた。
椅子に座って文箱の紐を解く。
中に入っていたいつもの黄色い料紙の下に、縦長の小さな包みが入っていた。
先に文を開く。
体調を気遣うことと、適性試験の励まし。
そして、試験に向けて細やかながら贈り物だ、と書かれていた。
(試験に向けて?)
包みを取り出し、開けてみると意匠の凝った細い筆が2本入っていた。
紅春麗
名前が入っている
胸に小さなあたたかい灯がぽっと灯って、春麗は声を出さずに微笑んだ。
添えられていた待雪草を活けて、眺めながら、お返事になんて書こうか…と考え始めた。