鳥は飛ぶ
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”明日はいつもより少し早起きだから”と鳳珠に謎のようなことを言われて(そもそもいつも早めなのに)と思いながら少し緊張して寝た春麗は、耳元で囁かれる天にのぼりそうな美声の「おはよう」で目が覚めた。
(毎日のことだけど、このままもう一度寝てしまいたいお声…)
婚姻後、(鳳珠のせいで)より朝に弱くなった春麗は、半分寝ぼけて鳳珠に抱きついてもう一度まどろもうとするところを無理やり身体ごと起こされた。
「春麗に見せるものがある」
夜着の上に一枚羽織らされて庭に出る。
その頃には少し覚醒してきて、それでも昇りつつある朝日が眩しくて、春麗は目を細めた。
鳳珠に手を引かれて少し庭院を歩く。
見慣れぬ小さな小屋があり、これは?と思っていると中から一人出てきた。
「鷹匠だ」
「おはようございます。御館様、奥様」
「お、おはようございます。こんな格好でごめんなさい」
春麗は急に目が覚めた感じがして、「どうして言ってくださらないの」と鳳珠を軽く叩いた。
鷹匠は一度小屋に戻り、出てきた時には腕に二羽の鷹を腕に乗せていた。
二羽とも黄色い眼の鷹だ。
「これと同じものが、黄州のお邸におります。これからは、こちらを使って文を飛ばしていただけるかと」
「訓練具合はどうだ?」
「こちらは黄州のお邸との往復ができるようにしてあります。もう十分ですね、宮城と黄州の往復用には紅い眼の鷹を仕込んでおります。こちらももうそろそろ準備が整いそうです。試しに、こちらを黄州に飛ばしてみましょう」
鷹匠の言葉に、春麗は目を丸くする。
「そうか」
と言ってから鳳珠は懐から黄色い
その間に、鷹匠が鳳珠に餌掛け(防具)をつけてから、鷹をその上に移動させる。
「脚のこの辺りに結んでください」
言いながら鷹匠が料紙を、その上に絹紐を巻き結んでいく。
飛ばし方を習い、鳳珠が同じようにやってみせると、そのまま鷹は飛び立っていった。
「奥方様の餌掛けは黄州のお邸にあります。向こうの鷹匠から受け取ってください。もっとも、ご自身で飛ばさなくても、文だけ脚につけていただければあとは鷹匠が行います。奥方様からの文は紅い
「わかった」
「あ、ありがとうございます」
では、と鷹匠は小屋に引っ込んだ。
せっかくだから、と少し庭院を散歩すると、四阿に瑞蘭がお茶の支度をして待ち構えていた。
「お着替え前ですけれど、こちらで少し休んでから出仕の用意してはいかがでしょう?」
「そうさせてもらおうか」
とりあえず、と春麗を促して座らせ、鳳珠も横に座った。