柚梨の娘
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今年の酒は出来がよくて、試飲程度だが例年よりはたくさん味見をした。
(昼の酒は回るというが…)
鳳珠は酒の手配を終えて、いい気分で散歩をする。
春麗の年賀の贈り物はすでに用意してある。
あとは…
散歩をしながら近頃の流行を確認する。
「ほーじゅさまぁ〜〜ほうじゅさまぁぁ〜〜〜」
遠くから呼ぶ聞き覚えのある可愛い声がして立ち止まった。
あたりを見回してみるが、それらしい子がいない…
そもそも、子供に知り合いはほとんどいないし、本名で呼ぶ者も限られている・・・
と思ったら、人混みの向こうから、てってと走ってくる蜜柑色の衣を着た子供…というには少し大きい少女がいた
(あれは・・・)
「ほーじゅさま!こんにちは!!」
勢い余ってぱふっと抱きついてとまる。
「玉蓮か?」
「はい!ほうじゅさま、こんにちは」
居住まいを正して挨拶してくる。
「一人か?」
(家人はどこだ…?)と思ったら向こうから焦った顔をして走ってくる柚梨が見えた。
「柚梨!」
手をあげて呼ぶと、気がついて慌ててこちらへ向かってきた
「こら玉蓮、急に駆け出したら危ないですよ。鳳珠、娘を捕まえてくださってありがとうございます」
「いや、大丈夫だ」
「遠くにほーじゅさまが見えたから、急いできたの!」
「そうか。だが一人で駆けると危ないから、次からはちゃんと柚梨も連れてきなさい」
「はい」
ぽんぽんと玉蓮の頭を撫でてやる。
「鳳珠は一人なんですか?今日は春麗ちゃんは?」
「今日は邵可殿の邸に帰っている。新年の贈り物の手配をして、これから迎えに行くところだが…そうだ玉蓮、新年の贈り物は何がほしいか?」
「鳳珠、いつも通りでいいですよ」
今までは身内でもある柚梨の妻の要請で衣をあつらえてやることがほとんどだった
「だが玉蓮は年が明けたら十三だ。そろそろ”ほしい物”が出てくる頃だろう。女の子は早く大人になるし、私ではわからないからな」
玉蓮は少し難しい顔をしてから、「ちょっと考えさせてください」と言った。
「ところで、ほーじゅさまは、春麗ちゃんをお迎えに行くのですか?」
(なんで玉蓮が春麗ちゃん、なんだ?)
「あ、あぁ」
「私も一緒に行きたいです!」
「玉蓮??」
柚梨がびっくりする
「だって、父様がいつもお話してくださる。春麗ちゃん、でしょう?お会いしてみたいです!」
「邸で話していたのか?」
「あ、ええ。2年ほど前に、官吏になれないのになんのために勉強するのかと言われていたので、春麗ちゃんと秀くんが国試に受かった時に話したんです。すっかり憧れたようで…鳳珠が春麗ちゃんを戸部に引っ張ってきて一緒に仕事していると言ったら、鳳珠への尊敬の眼差しが三割増しになりましたよ」
「そ、そうか…まぁ、迎えい行くだけだが、一緒に行っても構わないぞ?」
「やったーほーじゅさま、ありがとうございます!」
玉蓮は浮かれてぴょんぴょんしている。
「柚梨もくるか?私の軒で行こう」
「はい、お願いします」
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