花は紫宮に咲く−3
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次に、羽林軍の鍛錬場へ向かう。
白黒大将軍に挨拶をして、少し鍛錬を見学する。
ちょうど、藍将軍が相手をしているところだった。
(確かに、腕は立つし将軍職なのも頷ける…花街での色男には見えないわね)
終わった頃に捕まると長くなる、と、最初の兵学の講義を決めて両将軍と話し、王の執務室に移動した。
「単刀直入に聞きます。一体何をすれば?」
「うーん、余の考えを聞いて、助言してほしい」
劉輝の依頼はふんわりしたものだった
「それなら、李侍郎と藍将軍がいらっしゃるじゃないですか?」
「女人の柔軟な視点は必要だ」
「であれば…秀麗を茶州なんかに送らず、秀麗を補佐官にすればよかったんじゃないですか?」
「…」
(否定なし、ですか…)
わかっていたものの、急にどす黒いものが浮かび上がってくる。
こんなに醜い気持ちが自分の中にあるとは、自分に嫌気がさしてくる。
「主上、春麗を秀麗の代わりに近くにおこうとしたならば、春麗はこの場で辞めると思います。というか、春麗、辞めていいぞ、そういう約束になっている。」
その様子を見ていた絳攸が冷ややかに言った。
「俺はお前の力が必要になると思っているけどな、使う側が必要としていないのを付き合うことほどお前の無駄遣いはない。紅春麗を戸部、吏部、礼部が欲しがった意味を王がわかっていないなら、王の補佐なんてやめてしまえ。スカスカな礼部の立て直しに回す」
「・・・」
春麗は黙っている。
政の中枢に関われるのは面白いとは思うけれど、よく考えてみれば後宮にいた時から、王自らが接点を持たないようにしていたのだ。
それに、春麗から見たら、この三人は仲良しごっこをしているようにしか見えない。
藍将軍は知らないが、友達とか信頼できる人がいなかった者同士が、傷を舐め合っているように見えている。
(そんな中で、なんで補佐になんて言い出したのかしら?)
今ここで辞めますと言うのは簡単だが。
公の場で受けてしまった自分の信頼に関わる。
「多少お話を聞いてからでもいいかもしれませんね…今日はご挨拶までですから、とりあえず3日後にきますので、それまでに話すことを考えておいてくださいませ」
礼をしてさっさと室を出て行こうとしたが、思い出して
「李侍郎、少しお話しが」
と絳攸を呼び出して室の前で立ち話をする。
「王の補佐は1年と区切りました。それまでに王の方が本当にわたくしを必要としていないのであれば、やめさせていただこうという気持ちは変わりません」
「わかった」
「あと、今晩、茶州組の壮行会をやりますので、藍将軍と食材持っていらしてくださいね」
にっこりと笑ってしっかり要求してから、執務室を去った。