花は紫宮に咲く−3
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戸部に着き「この度配属になりました紅春麗です、明日よりよろしくお願いいたします!」と挨拶をして室に入る。
戸部官たちの期待半分、憐憫半分の視線を受ける。
「ようこそ、戸部へ」
景侍郎がニコニコしながら「よろしくね」というので、ペコリと頭を下げる。
「黄尚書は?」
「尚書室ですよ」
尚書室の扉を叩き、挨拶をして中に入る。
扉を閉め、「改めましてよろしくお願い申し上げます」と挨拶をすると、仮面を外した尚書がいた。
「戸部尚書補佐、なのでな。机案はここだ」
指を指された窓側に、尚書の机よりひとまわり小さい机があった。
「これ…?」
「お前の机だ」
椅子を引いてもらって、腰掛ける。
左斜め前に尚書の机。視界に入るところで嬉しくなる。
「ありがとう、ございます…」
「でも、尚書の補佐なんて…下官の仕事もやりますので、ご指導お願いします」
「あぁ、もちろんだ」
鳳珠は少し話をしよう、おを頼む、と言った。
お茶を出すと、自分の机の上にお菓子が置いてあったので、戻ってそこに座る。
どうやら少し長くなるらしい。
「お前の人事があんなになるとは思わなかった。今回の件で色々あった礼部の侍郎という案もあった」
「礼部…侍郎???わたくしが??」
侍郎って、そんな…と衝撃を受けているのをクスリと笑って見た
「お前、礼部の課題2つも出しただろう?それで魯尚書が侍郎に据えようとしたらしい。もっとも、戸部の話があったので諦めたと言っていたがな」
「でも、そのうちの一つは例の件で…」
「分かってはいるが、な。羽林軍指南は、任命式の時の通りだ。宋太傅たっての希望、私が月2回半日、鍛錬と勝負なし、と条件を出した。主上の言った通りだ」
「でも、鍛錬はともかく、宋太傅が勝負なしをそのまま聞くとは思えませんね…あの人の相手をできる人が少ないし、女が羽林軍の指南なんて、って思う人も多いでしょうから、覚悟はしています」
はぁ、とため息をつく。
「勝負は、だめだ。怪我をされては困るからな。仮に勝負して怪我した場合は即辞めさせる」
「なるべくそうならないようにします」
さて、どうやって勝負から逃げようか、と春麗は少し意識を飛ばしたが、すぐに引き戻された。
「それから、王の補佐も任命式通りだ。これは辞めるのも春麗の意思で辞められるようにした。戸部優先にしている。必要であれば私が話そう。ところで…なぜ1年と区切った?」
「1年後ぐらいに、多分必要なくなるからです」
「どういうことだ?」
「・・・いずれ、わかります」
どうやら、話す気はないらしいと判断した鳳珠は、話を進める
「吏部尚書補佐は…オマケみたいなものだ。黎深が要求したが、何をするかは知らん。戸部が臨戦態勢の時は戸部優先、にしてあるから、適当にやっておけ」
「ふふ…きっと、黎深叔父様が心配なさったからかと…なにも指示がなければ、停滞しすぎない程度に顔を出すことにしましょう」
全く、黎深のやつ…とぼやく鳳珠を見て、春麗は笑う。
「何か質問はあるか?」
「掛け持ちについては、何も。明日の朝、一度戸部に顔を出してから一応全部署に挨拶に行ってきます。そこで各部署に出る曜日や時間を確認してきますわ」
「わかった」
一旦話が切れたので、春麗は出してもらったお菓子に手をつけて「美味しいです」と微笑んだ。