花は紫宮に咲く−3
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「補佐官はわたくしの選択に任せる、ということでしたね?一度お受けしたら、ずっとやらないといけないのでしょうか?」
「いや、そういうわけではない。週に2回午に、と言ったが、戸部の仕事を優先してもらって構わないし、余の補佐をやる必要がないと判断した場合、やめてもらっても構わない。余は、そなたの知識が政を正しい方向へ導いてくれると信じているから頼みたいのだ」
「・・・」
すっと劉輝を見る。
羽扇を持った宰相が見えた。
(もしかして…!?いや、でもあの方は…)
長く返事をせず、周囲がざわつき始めた頃、ようやく
「紅春麗、謹んでお受けいたします。ただ…」
「ただ?」
「陛下の補佐官の任は、1年でお願いします」
声を落とし、劉輝にだけ聞こえるように言った。
「おそらく、その頃にはわたくしが不要になります」
「わかった。細かい条件は、黄尚書に話してあるので、後ほど確認するように」
佩玉など一式受け取り、任命式は終了した。
「ちょっと春麗、なんなのよあなたの配属!3つ?4つ?わけわかんない!なんなの、羽林軍指南、って!」
主上が退室し解散となったところで、秀麗がすぐに春麗に掴みかからん勢いで聞いてきた。
春麗が目の端で黄尚書を追うと、こちらを見ていたが秀麗の剣幕を確認したのか、さっと背中を向けた。
「秀麗、苦しい!わたくしが知りたいですわよ!」
「春麗さん、羽林軍指南なんて、かっこいいですー」
影月が的外れにのほほんと言ってくれてハッとした
「それより、あなたたちこそ大丈夫かしら?いきなり茶州州牧なんて!」
「春麗姫さん、それは俺と静蘭がいるから安心安全だぜ、アイツもいるしな!」
「そりゃあ、政はあの方がいらっしゃれば大丈夫でしょうけれど、でも…茶州なんて…」
薄々予想はしていたものの、いざ現実となるといくらなんでも、と不安が大きくなる。
「心配なのはわかるが、その前に自分の心配しろよ、4部門掛け持ちなんて前代未聞じゃないのか?」
「珀明さん…」
「俺は吏部下官、お前は吏部尚書補佐だ。せいぜいしっかりやるんだな」
「あー、それは多分…戸部尚書補佐とだいぶ役割が違う気がするわ、うん。官位だって一つしか変わらないし」
吏部でやることが想像できて、ガクッとした。
「あ!そうだわ、詳細を黄尚書に確認しろと言われていたから、挨拶がてら聞いてくるわ。また家で!」
「春麗姫さん、頑張れよ〜」
燕青の謎の励ましに見送られて戸部へ向かった。