花は紫宮に咲く−3
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最後の一人となり、必然的に周囲の視線が一点に集まる。
「紅春麗進士、前へ」
返事をし、前に進み出て跪拝する。
「今年度状元及第者 紅春麗 そなたを、尚書省戸部尚書補佐、吏部尚書補佐、羽林軍指南 および…余の補佐官に任ずる」
は、い???
(いま、なんて言った?戸部、吏部、羽林軍?っていうかなんで軍??数が多すぎてどれなんだかさっぱりわからない)
普段あまり驚かない春麗でも流石の内容に固まってしまい、妙な沈黙の間ができた。
王がもう一度繰り返す。
「戸部尚書補佐、吏部尚書補佐、羽林軍指南 および…余の補佐官、だ。だが補佐官はそなたの選択に任せる。どうだ?」
シン、と水を打ったように静まり返っていたが、だんだんと「そんな掛け持ち聞いたことない!」とか「文官の女人に羽林軍の指南は無理だ!」などと外野が騒ぎ始める。
王が口を開く
「主軸はあくまでも戸部に置いてもらう。吏部尚書補佐は週に一度午前中のみ、余の補佐は週に2回、午にしてもらう。羽林軍指南は月に2回半日ずつで鍛錬と勝負はなしだ。怪我をされて戸部に穴が空いては困るのだ。」
一拍置いて続ける
「ちなみに、羽林軍指南は宋太傅の推薦、そなたは兵学の国試は満点だ」
宋が満足げに頷き、また外野が静まる。
春麗がキッと宋太傅を睨むとガハハと笑いだし、久々に本気で殺意を覚えた。
「この内容で高官の同意は得ている」
(同意は得ている、ってこんなわけのわからないかけもち、殺す気!?)
流石の春麗も動揺が隠せず、眉間に皺を寄せて考え込んだ。