花は紫宮に咲く−1
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「ほ、ほ、鳳珠ーっ。これを!」
バタバタと景侍郎が駆け込んできた。
「半月繰り上げて魯官吏からの課題を提出します、と秀くんと杜進士の連名で!」
受け取った仮面の長官は無言で書翰をめくった。
「あなたが少しずつ紛れ込ませれいたものをこんなに見事に拾ってくるなんて」
「それだけじゃない、他の省庁からも証拠を集めてきている。このままで十分使える、合わせて朝議で報告しよう」
「鳳珠、私はもう感激です」
景侍郎は感極まって涙を浮かべている。
「泣くな」
「あなたが秀くんたちのお仕事を増やした時は、鬼畜、人でなし、この冷血仮面男!と思いましたが、撤回します」
「…覚えておこう」
尚書の吹雪のような声が響く中
「おはようございます」
と声が響いた。
「天寿くん!今、秀くんたちから課題が届いたんです」
「そんな頃じゃないかなと思ってきたんですよ。黄尚書、使えそうだったらこちらも補足資料として使ってください」
そんなに分厚くはないが、書翰を渡す。
中身を確認して「お前…」と呟く。
「使えそうですか?」
「あぁ、十分だ。しかし…こんなの出したら問答無用で吏部行きだぞ。黎深がお前を離すとは思えない」
「いやですよ、断固反対します。わたくしは…はっ、まさか、お約束、忘れちゃったんですか?」
途端に不安になってうるうるとした春麗に焦るが柚梨の手前、少し取り繕ってから「忘れるわけないだろう」とポンと頭に手を載せた。
その日の朝議は正午前に開かれることになった。
「準備はできたか?春麗、お前も一緒に来い。どうせ黎深の席が空いているからそこに座ってもいいぞ」
春麗はクスクス笑って
「それでは、叔父様が帰ってこられた時にお席がなくなってしまいますわ。わたくしは隅におりますわ」
「天寿くんなら紅尚書は怒らないと思いますけどね」
柚梨も笑う。
「さあ行こう、今日が勝負どころだ。」