黄金の約束−2
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その少し前、秀麗と天寿と”通りすがりの親切な方”はお茶を飲んでいた。
翔琳少年が戻ってきて燕青が賊に追いかけ回されているのを告げる。
秀麗はびっくりしているが翔琳少年が
「安心しろ、お前たちは俺の身内を助けてくれたから、恩返しをする。そうだこれ、薬代の足しにでもしてくれ。今日いつの間にか持っていたんだ。ヘンテコだが金ピカだ」
と天寿に布に巻かれた何かを押し付けて、さっさと出て行ってしまった。
「ちょっ…もう、何が何だかわからないわ」
秀麗は今回は関わらないことを決めているのか、ストンと椅子に座る。
(これは…)
鳳珠様を見ると頷いた。
秀麗に見られると厄介なので、とりあえず大事に懐の中にしまった。
「御館様。李絳攸様がお見えです」
家人から鳳珠に声がかかる。
「えっ絳攸様?お知り合いだったんですか?」
秀麗がびっくりして聞く。
「ここではなくて別の室に通してくれ」
と指示してから
「少し席を外す。お茶をありがとう」
立ち上がり、天寿の顔を見る。
「一緒に来い」
「はい」
後を追うために立ち上がる。
去り際にさらっとした髪を靡かせたのに目を止めた秀麗は、家主について出て行った天寿を不思議そうに見送った。
仮面をつけ、別室に入る。
天寿はその間に懐の中の押し付けられらものを確認し、探していたものと一致したので大事にしまう。
「この度は知人がお騒がせしているようで代わってお詫び申し上げにまいりました」
絳攸は正式な礼をとり、頭を下げる。
顔を上げて、天寿がいることに少し表情が変わったが、すぐに元に戻った。
「お前がくるとはな。で、お前の他に誰がきた」
「紅邵可様家人 茈静蘭、左羽林軍将軍 藍楸瑛、あと主上です」
「・・・最後、なんと言った?」
「主上がおいでになっています」
「ーバカ王め」
「確かにバカですが…王の器です」
「あれがか?」
耳を澄ますとかすかに”夜這い〜〜〜”という叫び声が聞こえる
流石の絳攸も少し呆気に取られたが、すぐに持ち直して続けた。
「…愚者と才子は紙一重と言いますし」
「それで庇っているつもりか?」
絳攸は感情論でしかないとわかりながら、自分が感じたわずかな可能性を伝えた
「ふん…朝廷随一の才人が、ずいぶん拙い論展開だな。論とも言えぬ」
「・・・」
「だが、口先だけの褒め言葉よりましか。王はお前に花菖蒲を贈ったそうだな」
「はい」
「それだけは評価してもいい。まあ、何も考えていなかった可能性も捨てきれないがな」
(絳攸兄様が判断したなら様子を見る、ということかしらね)
「この一つ向こうの室に邵可殿の娘がいる。行ってやるといい」
「黄尚書、あの娘はー」
「行け。そのことを話し合うのはお前ではない」
(役者不足、ということね)
黙って礼をして出て行こうとする絳攸を、黄尚書が止めた。
「李侍郎。あの二人はなかなか役に立った」
「それはようございました」
にっこり笑って、絳攸は出て行った。