黄金の約束−2
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驚いて顔を上げた天寿を見て、なんとなく考えていたことの想像が当たっていたということがわかり、口の端をあげる。
「ところで…なぜ侍童の姿で外朝勤めをしている?紅秀とともに、王が検討している女人国試制度のことを知ってきたのか?」
「!!」
(絳攸兄様は黎深叔父様と黄尚書の賛同が必須とおっしゃっていた。叔父様はともかく、尚書は反対、とすると否定することは得策ではない…し、女とバレても構わないと…)
緊張感が支配する中、天寿は口を開いた。
「春は…偶然です。黎深叔父様に聞かれたのであればご存知でしょうが、秀麗が期間限定の貴妃として後宮に上がっていたので、その際に女官と三師付き侍童として仕事をするように、と言われておりました。今回は…知っています。が、秀は知りません」
正直に全て答えた。
「そうか。私が反対したことも知っているか?」
「はい。でも、意見を変えてくださったと思っています」
「なぜだ?」
「反対されていたら、もっと早くにバラしているでしょう?それに、尚書は…公平ですから。きちんとその人を見て判断してくださる。春も、今も、そう感じています」
(よく見ているな)
フッと笑って外を見る。
「とまれ!」
御者に声をかけ、俥を止める。
「これから、私のことは名で…本当の名で呼べ。あと、夜に話があるのでそのつもりで。お前はここで待っていろ」
と言って、はじめて手を離して俥を降りた。
目の前に燕青と秀ー女性姿の紅秀麗ーと先ほどの二人組がいる。
子分の方が倒れているらしい。
「うちに運んでくれる?」という女の声が聞こえた。
「私の邸のほうが近い」
と声をかける。
(何?この迫力美人!!)
秀麗と燕青はあんぐりと口を開けている。
倒れた少年を抱き上げ確認していたら、先程の親分が「お前は怪じ…」と言いかけたので、ギロッと睨んで
「この少年を助けたかったら黙っていろ」と告げる。
燕青に少年を預け、すれ違いざまに
「くれてやったみやげは全部片付いただろうな」
と告げてニヤリとすれば、驚いた顔でこちらを見ていた。
(夜に話がある、と言われたのはさっきの話の続きかしらね?本当の名で呼べ、ってことは鳳珠様、とお呼びするということで…)
と考えながら戻りを待つ。
しばらくして、戻ってきた時には秀麗と燕青、倒れた少年ともう一人の少年が一緒だった。
(さっきの騒動の時の子と秀麗たちね。秀麗には黄尚書の素顔だと告げるつもりんがない、と。だから名で呼べということね。秀麗もこの場では天寿の格好のわたくしには話しかけられないでしょう)
納得した天寿は特に何も言わずに黙って座っていた。
ただでさえ迫力美人が現れただけでも呆然としてしまうほど驚いたのに、乗せられた車に”天寿”がいたので、秀麗と燕青は驚いて顔を見合わせる。
(さて、帰ったらどう言い訳するかしらね)
なんとなく重苦しい空気の俥はまた走り出す。
しばらくして、大きな邸宅に着き、裏口から邸へ入れられて離れに連れていかれた。