黄金の約束−4
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さらに翌日の朝
「またお花が届いたわ。黄尚書には元気になったってお礼の御文も出したのに」
秀麗は食卓の上の見舞いの品と花を見てつぶやいた。
「秀麗、これは春麗にだよ?」
「え?春麗、具合悪かったの?どうしちゃったのかしら?」
「君、静蘭から何も聞いてないのかい?」
邵可は驚いて目を見張った。
確かに自分からは何も言わなかったが、静蘭が伝えているか、自分で気がついていると思っていた。
だが秀麗になんと言っていいかよくわからなくて、邵可は何も言わなかった。
「これは私が持って行っておくね。今日あたり起き上がれるだろう」
「私も一緒に行くわ」
春麗の室を覗くと、寝台の上に起き上がって、薬を飲んでいるところだった。
「春麗、気分はどうだい?」
「あ、父様。もう熱は下がったみたいだわ」
「それはよかった。今日もお見舞いをいただいたよ、この花と、苺だそうだ。なんでも、蜜柑は届くだろうから苺にした、とお遣いの方から伝言があったよ」
「まぁ、綺麗なお花。それに苺なんてなかなか食べられないから嬉しいですわ。いいのかしら…?」
「いいんじゃないかい?せっかくだから、いただくといい」
「後で少し食べてからお礼状を出しておきますわ。蜜柑も苺も感想も書かないといけませんからね」
邵可と春麗の会話を、秀麗が少し驚いた様子で聞いていた。
わかるようで何か引っかかる会話、だが何に引っ掛かっているのか、秀麗にはわからなかった。
険しい表情をしていたのに気がついた春麗が声を掛ける。
「あら秀麗、あなたはすっかり良くなったみたいね」
「春麗はどうしちゃったの?」
「聞いてないのね。柳晋探しに龍山に行って、見つけたのはいいけれど雪で下山できなさそうだったから穴蔵にいたのよ。で、藍将軍と絳攸兄様が助けに来てくださったわ。悪いけど、まだ少しだるいから、今日までは少しゆっくりさせてもらうわね」
「あぁ、そうするといい」
邵可は秀麗を促して、室を出た。
二人の足音が聞こえなくなってから、寝台から出て机の上の花を活ける。
昨日の花はどうやら父様がとりあえず花瓶に挿してくれたらしい。
(なんか不思議な感じ)
華やかになった自分の室内を見て、苺を一粒口に入れた。
少し酸っぱいが甘さもあって自然と笑みが出る。
「お礼状書かなくちゃね」
料紙を広げて、さて何を書こう…と思いながら、春麗はもう一粒、苺を口に入れた。