黄金の約束−4
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「ぎゃぁぁぁぁぁ」
夜も更けてしんしんと雪が降る中、紅邵可邸を切り裂くような秀麗の叫び声が聞こえた。
「秀麗殿!?」
「秀麗どうしたんだい?」
「お嬢様!」
と次々と室に駆け入っていく。
「主…上」
目の前には、動けない女人を無理やり襲っている夜這い男之図・・・
全員の視線が一斉に据わったものになり、怒号が飛び交った。
周囲の状況から、静蘭が分析した。
「いただいた葉医師の薬はともかく、旦那様お手製の生姜湯を飲ませてしまったんですね」
「生姜湯、って生姜の味なんかしなかったわよ?」
「まぁ確かに、元気にはなったかな?熱も下がり始めたんじゃないかい?」
邵可はごまかすかのように秀麗のおでこに手を当てて、様子を見た。
その騒ぎを遮るかのように、少年の声がした。
「秀麗師!」
「柳晋、どうしたの?その包帯!」
「薬草をとりに山へ入って迷子になったようですよ。藍将軍が山腹の穴ぐらで見つけた時は、春麗お嬢様に抱えられるようにして寒さを凌いでいましたけど、それでも手足が凍傷になりかけていたんです。」
「えっ、春麗といたのかい?」
初めて気が付いたかのように、邵可が聞いた。
「えぇ、柳晋くんが冷えないように、しっかりと抱きかかえていました。聞いたら、出かける時にたまたまお父さんから柳晋を知らないかと聞かれたそうで、気になって山を見に行ったようですよ。運よく会えて下山しようとしたけれど雪がひどくなったので穴蔵を見つけてそこに入っていたそうです。そのまま歩いていたら確実に危なかったでしょうから、彼が思ったほどひどい症状じゃなかったのは、春麗殿のおかげですね」
楸瑛が聞いた話をそのまま伝えた。
「柳晋、私のために薬草を?」
「だってオレのせいだし、ごめんよ秀麗師。オレ聞いちゃったんだ。これからずっとお道寺の勉強には来れなくなるかも、って。だからもっと一緒にいたくて邪魔や悪戯して…でも困らせるつもりじゃなかったんだ。それなのに川に落として病気にさせるなてごめんなさい。秀麗師、嫁になんて行くなよー!!」
「ちょっと!私は嫁に行くわけじゃないわよ!」
「だって嫁に行くからもう来れなくなっちゃうんだろ?だったら後五年したら、オレがもらってやるから待ってくれよ」
「待て!少年!そういうことなら余も黙っては!!」
ビュッと音がして扇が飛んできた。
「なんで扇子が飛んできたの?」
あらいいお品♪と秀麗は呑気に言っているが、絳攸と楸瑛はたらりと冷や汗をかいた。
(きっといる!!扉の脇にーーー)
「劉輝様、申し訳ございません。手が滑ってしまいました。柳晋くん、お父さんが心配しているからもう戻りなさい。秀麗のために薬草をありがとう」
コクっと頷いた柳晋を邵可は抱きかかえた。
「皆さんにお礼を言いなさい。君が熱を出したと聞いて、お見舞いに来てくれたんだよ。この扇子の主人にもね。そこに…」
三、二、一…
応答なし
「いらっしゃったんだけどね、もう帰ってしまわれたよ」
「そうなの」
その後、お茶を淹れるという邵可を遮るように絳攸たちは帰ろうとしたが、静蘭により劉輝も含めて庖厨掃除に連行された。