黄金の約束−4
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そんなところで何をしているんだい、黎深」
ひょっこりと邸の主人の邵可が顔を出した。
「おや、黄尚書まで」
「あ、兄上…」
「ご息女のお見舞いに参りました。突然の訪問をお許しください、邵可殿」
「あ…兄上、これは…その…」
大方、秀麗が寝込んだ話を聞いて、黎深が黄尚書を連れてきたのだろう、というところはお見通しな邵可は
「…仕方のない弟だね、秀麗もねむっているし、上がりなさい」
と静かに伝えた。
最も、朝廷の高官二人をこのまま外に放り出しておいて、風邪をひかせるわけにいかない。
ため息混じりの邵可の声とは反対に、黎深は嬉々とした声で「いいんですか!」と答えた。
「大事な弟をそんなところにほっぽっておけないだろ」
”大事な弟”の一言に、黎深が天にも昇りそうに浮かれているのを鳳珠は静かに認めてから「失礼します」と室に入った。
「花は見舞いの品です。それと、とりあえず抵抗力をつける生薬を葉医師から頂いてきました」
「葉医師に?それはありがとうございます」
ありがたく受け取る邵可に、「あっ兄上!わたしも!!わたしもこれを!!」と黎深が差し出す。
「病には果物が良いというので!薬も片っ端から持ってきました!!」
どっさりと渡された邵可は「黎深。持ってきすぎだよ」と呟く。
「まったく、極端から極端に走るね。それにこの薬、なんで精力剤やら月のものやら陣痛どめまであるんだい?」
むむむ、と苦虫を噛み潰した黎深は「・・・すぐ薬師を打首にいたします!」と答えた。
「バカを言いなさい!何を考えているんだね、全く。精力剤は持って帰りなさい」
しゅん、と項垂れる黎深に少し笑った邵可は
「でも気持ちは嬉しいよ。ありがとう黎深」
と声をかけ、黎深は満面の笑みで喜びを全身で表現した。
後ろで、鳳珠が青くなりながら(さすがだ…)と思っていたことを、黎深は知らない。