はじまりの風−2
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「ねぇ、あの侍童、なんなの?」
「知るか」
興味なく絳攸は答える。
ちょっと剣術のできる侍童、ぐらいにしか思っていない。
「でもいまだに宋太傅に互角に戦える人なんて、羽林軍でもほとんどいないんだよ?」
楸瑛の発言に絳攸は目を見張る。
「しかも、三師が揃い踏みだったな…あれ、戸部の遣いできているって邵可様が言っていた子だよな」
「ただの戸部付き侍童には思えないけどね」
「調べてみるか」
「邵可、あのクソジジイたちと一緒にいる侍童は誰なのだ?」
劉輝は窓枠にかじりついて尋ねる
静蘭は黙って動きを見つめる。
(あれは、もしかして…いや、まさか…)
「時々、遣いにくる侍童ですね」
心ここに在らずで答える。
(春麗・・・、君はあの一年ほどの間に、そんなことまで身につけていたのかい?)
幼い頃は家中が秀麗にかまけて、そしてその意向を確実に掴んで姉であることをやめた長姫。
武術をやっているっぽいことは感じていたが、そこまでの技術とはおもっていなかった。
宮城に通わなくなって、黎深のところで剣術を続けているとは思えない。
(いったいいつの間に)
言葉を持って生まれたこと、先が見えることを疎ましく思ったことはなかったはずだし、自由にさせることで人生の選択を与えたつもりだったが、その実、私は真剣に彼女に向き合っていなかったのかもしれない…
(なぜ、剣をとったのか?彼女は、私の過去をもしかして知っていた?)
邵可に15年分の後悔をさせるには十分すぎるほどの衝撃を与えるだけの動きであった。