はじまりの風−2
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戸部の仕事が終わった後、久しぶりに三師の室に顔を出す
「すっかり戸部付きの侍童になってしまったな」
霄大師が嫌味半分で言う。
ここにいても茶飲み話に付き合うぐらいで、することはないのでちょうどいい。
「教育の成果が発揮できているなら何よりだがな。黄尚書に随分気に入られているらしい」
茶太保が少し寂しそうに頭を撫でてきた。
「今日という今日は、相手してもらう、来い!」
と宋太傅に腕を掴まれて引きずられる。
「だから、やらないって言ってるでしょう!嫌です!」
騒ぎながら連れて行かれたのは、府庫の裏庭。
「ここなら暗いし、他人は来ない、さぁ取れ!」
木刀を放り投げたと同時に、踏み込んでくる。
カンッと受けながら
「ちょっと、やらないっって言っているのに!」
「問答無用!」
これはやるまで解放されない、と一度退いて体制を立て直し、構える。
(宋太傅相手では真剣にやらないとすぐ痛めつけられる)
身をもって体験したことを思い出し、すっと顔色が変わる。
「さっさとそうすりゃぁいいものを、行くぞ!」
カンッカンッと木刀が当たる音が響く。
かなり長い間打ち合っていたが、着地の際に体制を崩した際に、宋太傅の剣先が首に当たった。
「はぁ〜〜〜〜」
ガクッと地面に座り込む
「少し体力が落ちているな、これから毎日鍛え直してやる」
「勘弁してくださいよ、この後の仕事もあるんですから、そんなにお相手できません。文句は霄大師に言ってください」
フォフォと笑い声がして目をやると霄大師と茶太保がいつの間にか追いついていて見ていたらしい。
「宋の、それぐらいにしてやってくれ。久しぶりにしてはよくやっていた」
茶太保が褒めてくれる。
彼は昔からいつも優しい。
「たまには相手してやってくれ、この歳になってもまだ誰も宋に勝てる奴はおらんのじゃ」
霄が頼んでくる。
「毎日は勘弁してくださいよ、ほんと。あぁ、そろそろ戻らないと。では失礼します」
よろよろと歩き出す。
後宮の方へ、侍童が・・・
四人は気づいていなかった。
府庫から邵可と劉輝と静蘭、楸瑛と絳攸がそれぞれ見ていたことを。