紫闇の玉座-6
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春麗が悠舜に近づいていくと、皇毅と晏樹もいることに気がついた。
(しまった、これは面倒な…)
気づかれないように身を翻そうとしたときに、皇毅と目が合ってしまった。
わずかに表情を変えた皇毅に、逃げられないと悟り立ち止まる。
その時、少し脇の茂みからガサガサと音が鳴ったかと思うと、黎深の頭が生えた。
「あっ、悠舜の傍から離れろ!!難癖付けて袋叩きでカツアゲしようとしていたな、貴様ら」
「黎深、悠舜はいたかーーあっ、また悠舜を囲んで脅しか!卑怯だとは思わんのか!」
さっと割り込んで悠舜を庇う黎深と鳳珠。
悠舜はニコニコ優しく笑って嗜めている。
皇毅と晏樹は嫌になった。
…騙されている。常に彼らはそう思ってきたのだった
「残念だねぇ。僕らは悠舜とは、君らよりもーっと長い付き合いなんだよ、ね、皇毅?」
「あぁ、全くわかってないな。悠舜のあれやこれやも知らん若造が友人気取りとは」
「なっ、なんだ、悠舜のあれやこれやとは!!教えろ!」
黎深の叫びに、春麗は近寄りながら思わずクスクスと笑った。
(全く、天つ才の紅黎深は何処へやら…あの場にいた鳳珠様も薄々わかっているのに、悠舜様と対峙してしまうとこうなってしまうのね…)
鳳珠ではなく皇毅が近づいてきて、春麗の頭に手を伸ばした
「私の春麗に何をする!!」
黎深がものすごい勢いで寄ってくる
「黎深、お前のではない、私のだ」
「鳳珠、今はそこではありませんね」
悠舜に嗜められて、二人は止まった。
その間に、皇毅の手が春麗の髪を飾っていた黄色の布に触れた
「髪に葉がついていたから取ってやっただけだ」
「ありがとうございます、葵長官」
「皇毅、だ」
「何?皇毅、いい感じになっちゃって」
晏樹が入れたツッコミを聞いて、悠舜が咎めた。
「ダメですよ皇毅、春麗姫は鳳珠の顔に耐性のある貴重なお嫁さんなんですから」
再びザァっと風が吹いて、悠舜の手元の料紙を、桜吹雪と共に巻き上げたのを、皆が視線だけで見送った。