紫闇の玉座-6
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「やはりお前らか、紅春麗」
紅色の衣ですっくと立った春麗を見て陵王は声をかけた。
「一人とは思われませんのね?」
「どうせ、いるんだろう?黄奇人、管飛翔?」
呼ばれてしまったら仕方ないな、と呟きながら、鳳珠と飛翔が出てきた。
その様子を、周囲の人間は唖然とした顔で見つめている。
「鳳珠、飛翔、私は動くなと言いましたよね…?」
悠舜の低い、だが確実に怒りを含んだ一言に、劉輝はブルッと震えた。
「春麗…」
秀麗は戸惑った声音を出し、邵可はわかっていたかのように口の端を上げたのを玖琅が忌々しい表情で見た。
「あれが鳳珠のお嫁サンなのね」
志美の呟きに文仲が驚き、静蘭と楸瑛は目を見張り、燕青はじっと見ていた。
「で、どーなんだ?答えは出たのか?」
「答えは…お会いしたあの夜にお伝えしておりますわ、孫尚書。誰も殺さず、戦わずして済む方に、と」
「もし邪魔をするなら斬る、と言ったからな…」
陵王はすらりと黒鬼切を抜いた。
春麗はすっと薄く微笑んだ。
「ぞくっとするほどの色っぽい笑顔だな。そんな表情でこんなものぶん回さないといけないのは残念だが…」
陵王はブン、と一度刀で空を切ったのを見て、春麗は紅色の官服ーいつぞやの改造官服に手をかけ、ばさっと脱いで後ろに放り投げた。
ふわりと広がって鳳珠の足元に落ちたそれを、飛翔が拾った。
そして視線を上げた目の前には、準禁色の銀杏色…鳳珠の官服と同じ色の、武官のような鍛錬服を着た春麗が立っていた。
「っ、ヨメのあの服…」
つぶやいた飛翔に、鳳珠は答えない。
「それが、お前の答えか?」
「”邪魔をするなら斬る”に対して、”わたくしの守りたい、大切な人を傷つけるようなことがあれば”そっくりそのままお返ししますと、お伝えしたはずですわ」
言ってから手元の荷物の布をくるくると外し、それも放り投げ、すらりとさやから抜いて、構えた。
「もう結果は見えているはずです、孫尚書。それでも…とおっしゃるなら、お付き合いいたしますわ」
「お、おい!?」
飛翔は慌てて鳳珠を見たが、鳳珠は何も言わずに春麗をじっと見つめている。
「ちょっと、春麗!孫尚書!!」
秀麗の叫び声に呼応した周りのざわめきが合図となり、二人は駆け出し打ち合った。