紫闇の玉座-6
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次に現れたのは”孔雀繚乱”
「茶州もきたか?」
「えっ?櫂瑜様??」
ガタッと立ち上がって春麗は半蔀から顔を出さん勢いで身を乗り出した。
「影月さんの文に、櫂瑜様を押さえてくれっていうから、あれだけ書いたのに、もう…」
見れば、影月も頭を抱えて座り込んでいた。
そして貴陽方面の三街道から、それぞれ土煙を上げて軍勢が押し寄せてくる。
劉輝の様子を見ると、下を向いていた。
(黒州と白州はわからないけれど、どうか…黄州は…)
いつの間にか白くなるほど握りしめていた春麗の左手を、鳳珠がそっと取った。
仮面越しだが柔らかくも力強い視線に、春麗の緊張が少し解けて、ぎこちなく微笑んだでから、ふぅと大きく深呼吸をして、目線を外に向けた。
「陛下!!っしゃあ!」
という白雷炎の雄叫びと、その横には黒耀世、そして、もう一人。
「悠舜…」
鳳珠と飛翔の声が重なった。
晏樹と悠舜が何やら言い合っている間に、孫陵王は傍に止めてあった俥の方へ身体を向けた。
「陵王様?」
「もう大方、出揃っただろう?いい加減、あれが気になってな。俺が見てくる。手出しするな」
止める司馬迅を振り切り、すたすたと俥に向かって歩き出した。
言い合いをしていた悠舜と晏樹も言葉を止め、全員の視線が孫陵王の背中と、その背中越しの俥に集まった。
「やれやれ、やっと出番かねぇ?」
飛翔があぁ〜〜と言いながら大きく体を伸ばして、
「ホラ、行くぞ」
と扉近くにいた俊臣を促した。
「あーあ、ボク、眩しいから外に出たくないよ」
「いーからとっとと行け!」
「待ってください!」
止めたのは春麗。
「わたくしが、出ます」
「なんでだ?」
「見ていれば、わかりますわ。危ないので出てこないでください」
手元の荷物を取り、鳳珠の方を見た。
「大丈夫だ、私がついている」
「はい」
「おい、危ないって、どういうことだよ?」
飛翔の声には答えずに、扉を開けて春麗は外に出た。