紫闇の玉座-6
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「ヘェ、あのお嬢ちゃん、馬乗れたのか!」
飛翔の声に、春麗は唇の端を上げた。
「全く、いつ身に付けたのかは知りませんが…」
「お前だってお互い様だろ、秀麗は知らないんだろう?」
鳳珠の問いに黙って頷く。
我ながら、紅家は秘密の多い家だ。
いや、紅邵可一家が、かしらね?と心に中でここにいない邵可に問いかけて、また薄く笑った。
秀麗はしつらえた壇を鮮やかに飛び越えて、劉輝の前に着地した。
ほぅ、と俥の中で安心したような、感心したようなため息が落ちた。
「流石に、会話は時々しか聞こえないな」
「少し離れて着けているから仕方ないよネ。気になるようだったら後で仙洞令君にでも記録を見せて貰えばいい」
途切れ途切れに聞こえてくる会話。
劉輝と旺季にしかわからない会話だろうか。
時折、楸瑛と秀麗、孫陵王と司馬迅が何やら話している様子が窺える。
程なくしてから、劉輝と旺季の一騎討ちがはじまった。
それまで、考え事をしていたようであまり外を見ていなかった春麗が、途端に半蔀に齧り付いて外の様子を見始めた。
「春麗…」
鳳珠が小さくつぶやいたのを聞いた他の三人は、顔を見合わせてから春麗の様子に目を向けた。
その視線がまっすぐに見ているのは…
(旺季殿のあの動き、明らかに宋太傅と同じような…実戦を積んだ人の動き、対して主上は宋太傅が教えていることからも、私の動きに近い…)
「主上の動きが一段上がりましたね…これは…」
春麗の呟きに四人が外の様子に目を向けると、旺季の剣が半ばから折れて、はじき飛んだ。
足払いをかけられた旺季が顔を上げると、喉元に”莫邪”の白刃が突きつけられた。
輝く太陽を背に、紫劉輝は小さく笑ったように見えた。
そのとき、左手の山から凄まじい爆発音が上がった。