紫闇の玉座−5
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翌朝の出仕前に、昨晩見た様子を鳳珠に伝えた。
「ふむ…秀麗がいない、か…前に見た時は棺で眠っていた、と言っていたな」
「えぇ、リオウ殿に確認したところ、縹家のものだとか…珠翠と話ができるといいのですけれど、縹家の方に簡単にいけないみたいなのと、行ったところで会えるとも限らない、と…ただ、今の大巫女は珠翠ですから、悪いようにはしないはずです」
「そうか…会談の日時が決まった以上、それまでに秀麗が戻って来られるかどうかが主上にとっての鍵となりそうだな」
「えぇ…あと、おそらく、絳攸兄様が黄家当主と思われる方とお会いになっていました。最も、衣の色だけで判断したので、当主様かどうかはわからないのですが…」
「いや、間違い無いだろうな。黄家はもちろん、紅家で言うところの”影”を使って情報を得ているが、肝心なことは自分で確かめる。それに閭の爺さんがついているなら、当主以外に会わせることはしないだろうな。互いに意味がない」
「そうなんですね」と春麗は頷きながら、それから…と思い出す。
「姜州牧の居場所を探りたかったのですが、その前におかしな三人組を見てしまって、そこまでできませんでした。また明日にでも…」
鳳珠は粥の匙を止め「おかしな?」と聞き返した。
「えぇ…紅黎深、白大将軍、それから…悠舜様」
「悠舜?」
「はい…どこかに移動しているようでしたね。もしかしたら、主上があの時、白大将軍に頼んでいたことって、悠舜様のことだったんじゃないかしら…?」
鳳珠は大きくため息をついた。
「だが、なぜ黎深まで…」
「色々あってもぬけの殻になっていた叔父のことを、志美様にお願いして行ってもらったんです。おそらく、それがキッカケで復活したのだと思いますが」
「だいたい三人で、何をしているんだ?どこかに移動しているということは、黒白両家の説得か?」
「さぁ‥叔父様の方から当たってみましょうか?影から確認すればわかるかもしれませんわね。でも。紅家の文に何も書いていなかったところからして、あまり情報は得られないかもしれませんが、やってみます」
「あぁ、頼んだ」
鳳珠はわずかに遠くを見て、どこで何をしているかわからない悠舜と黎深に想いを馳せた。