紫闇の玉座−4
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次から次へと空いていく酒瓶にいささか引きながら、春麗はせっせと鳳珠に酒と水を、飛翔に酒を注ぎ足していた。
「で、結局、俺らは悠舜の”動くな”の通り、旺季に従っていなきゃいけないワケ?納得いかねぇけど、悠舜がいうなら仕方ないなとも思うが、それってどうなんだよ?」
激しく酔っ払う、ということは飛翔の場合ないが、それでも場所が鳳珠の邸ということもあり、本音がどんどん出てき始めた。
「あぁ、最後までこのままでいいとは思っていない、ということだろう?」
探るような眼で見てきた鳳珠に、飛翔はフッと息をぬいて笑った。
「お前とそんなに近いと思っていなかったが、そういうところは意外と感覚が近いのかもしれねーな。一度、どこかで六部尚書侍郎で…話をしねーとな」
「そうですね、孫尚書は旺季殿と近いですから、抜くことになるでしょうけど…あの方は、旺季殿が作られた国を見たいそうですよ?」
「だろうな…昔からの盟友と聞くぜ。ま、無視していいんじゃないか?下手に呼んだら旺季にチクられる。主上は…俺らの動きに期待していただろうな、何もしていないのは申し訳ないとは思うが、今は時じゃねぇ」
春麗は少し遠くを見てから、口の端を上げた
「まぁ、おそらくイラついているのは側近の二人だけでしょう?絳攸兄様はもう北に向かって必死に移動中でしょうし、主上と父は、今すぐどうこう、ということではないから少し時間稼ぎだとばかりに構えていると思いますわ」
「ヨメ、なんでそんなにくわしーんだ?」
「紅州の劉州牧から知らせていただきましたから…志美様、結構頻繁に連絡くださるんですよ、父様より多いぐらい」
「へー、いつの間にか志美とも交流あるのか。話してないのは文仲ぐらいか?」
「あと、来尚書も…顔は合わせていますけれど、お話は、まだ」
「前にも言ったが、俊臣殿とは話さんでいい。悠舜も言っていただろう」
鳳珠が硬い顔で春麗の方を掴む。
春麗は??と表情には出たのを見た飛翔が口を開きかけたが、主題ではないと鳳珠は話を戻すことにした。
「おそらく、雪が溶けた頃に、会談、という名目で会うことになるだろうな。旺季殿は戦をする気は十分だろうが、率先してはやらんだろう」
「そうですね、孫尚書も、”譲らせる”って話してましたし」
「…春麗、いつ話したんだ?」
鳳珠の声が一段低くなる。
「えっと…旺季殿が紅州に行くことが決まった時ですね。行きがかり上、だったのですが、父様も一緒でしたよ?」
(旺季殿に会おうとしていたとは言えないわね…)
春麗はしれっと答えた。
鳳珠は何かある、とは思ったが、すぎたことと思い、とりあえずは何も言わなかった。
「なんだよ、”譲らせる”ったって、軍率いて圧力かけて、”はい、ごめんなさい、あとはよろしく”って狙ってんだろ、なんだそのしゃらくせーやつ、絶対納得いかん!」
飛翔の琴線に触れたのか、ヤクザな本音で怒り始めて酒を煽った。