紫闇の玉座−4
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「そうだな、聞いた話だが、大業年間の時は、何度も紅州に南下して食糧をぶんどって行ったようだ。食べ物の恨みは深いからな…」
「紅家からの文で、少し前まで劉州牧が食糧支援の要請を断っていたようです。今は出したみたいですけど…そんな紅州、そして紅家が経済封鎖はするわ、主上に着くとなったら…それを知っているかどうかはありますけど」
「それは…黄家当主が動いているな。彼は情報屋だ。しかも、”勝つ方”に乗る。今の当主は…」
「??」
春麗は言葉が止まった鳳珠に向かって首を傾げ、柚梨はあー、と小さくつぶやいた。
「春麗には知っておいてもらったほうがいいな。今の当主は、大業年間で大幅に家産を減らした先代を毒殺して、当主になったという噂がある…私は本当かどうかは知らないが、確かに、冷酷非情で抜け目はない。見た目も戦禍の傷跡がいくつも刻まれている。まだ少年だった当主兄弟が戦の中、自分で武器を背負って各地を『戦商人』と『情報屋』として歩いたということだ」
「そう、なんですか…だとすると…」
春麗は眉間に皺寄せて、考えこんだ。
(あの贋金と塩の騒動の時のお金…どこに行ったかわかっていない…紅州の鉄も消えている…黄家が絡んでいる可能性が高い?)
「おそらく…あの贋金騒動の時の金は、黄家にあるだろうな。それとなく確認したがもちろん尻尾は出さなかったが」
春麗の考えを読んでいたかのように、鳳珠が答えた。
「だが、
春麗も柚梨も(鳳珠と真逆…)と心の中で呟いた。
「どこかで…」
春麗は重い空気の中、口を開いた。
「どこかで、そうですね、きっと…冬が終われば…雪が終われば…決着をつける場があるでしょうね」
「”会談”で決まるといいですが」
「”戦”になるかもしれんな…悠舜から、決して動くなとお達しがあったが、さて…紅家も黄家も情勢を決める部品の一つとなってしまった以上、そうも言っていられなさそうだな…」
遠くを見つめた鳳珠が何を考えているか、柚梨にも春麗にもわからなかった。