紫闇の玉座−4
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外朝での日々は淡々と過ぎていく。
正直、王と宰相が不在にもかかわらず、表面上は何一つ変わらないように政務は続いていた。
礼部に届いた各州の国試受験者の一覧を広げていると、礼部官が春麗に茶州の櫂瑜と影月からの個人的な文と、紅州州牧からの文を持ってきた。
「紅侍郎宛に、茶州と紅州からの文です。最近、両州からは頻繁に届きますね」
「そうですね…個人的なやり取りですけどね、櫂州牧には色々ご教授いただいていますし、割と親しくしている同期もいますし、戸部で茶州学舎の件は担当してましたから、何かと、ね」
「あぁ、杜影月官吏ですか。彼も色々ありましたからね…それに、紅州…」
礼部官の目が遠くを見た様子で、言わんことを察した春麗は、苦笑いして「まぁ、そうですわね。とはいえ州牧はお目にかかったことないですけれど」と会話を終わらせ、まずは櫂瑜と影月の文を開いた。
主上が貴陽を落ちたことを書いた文は、今頃届いたぐらいだろうか…。
その証拠に、それを心配する内容が書かれている。
櫂瑜の文には、何かあったら必ず自分も助けになると書いてある。
少し微笑んでから影月の文を開くと
”今、碧州にいます。櫂瑜様に医師団と共にただき出されました。かなり王都のことも心配しています。でも櫂瑜様がこと今の争いについては、過去のこともあっていちいち血圧が上がって仕方がないから、春麗さんが櫂瑜様を止めてください”
と書いてあった。
これを書いた時の影月の表情が浮かび、春麗は苦笑いした。
次いで、紅州州牧・劉志美の文を開く。
”藍州の姜文仲が貴族派の臣下に幽閉されたわ。文仲とアタシ、仲イイし、紅州が主上に着いたから先手打った、ってことね。それから邵可殿が東坡郡太守に自薦でなった。李絳攸は、うちの州尹で李絳攸が大キライな荀彧が給料泥棒のごうつく爺さん(閭官吏、黄門だから詳しくは鳳珠に聞いて。ちなみに文仲の件も爺さん情報)につけて北方三州説得のための修行の旅に出た。でも閭爺さんについて行ったら、凄腕官吏になって戻ってくるはず。私は邵可殿や主上と合流”
ということが書いてあった。
(ざっくりと影からきている報告と同じね。志美様の文はそのまま鳳珠様に見せないと)
背後関係がよくわかっているだけあって、志美の情報が少し詳しい。
それを踏まえて茶州の櫂瑜と碧州に出ている影月、反対に二人からの情報を紅州に向けて二通書き、紅州宛は影に、茶州と碧州宛は外朝から出す最速便に入れて、午後の戸部での仕事のために礼部を出た。