紫闇の玉座−4
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旺季が戻ってきた。
入ってきた孫陵王から、これまでの顛末を聞く。
「ほぅ…黄奇人と紅春麗がねぇ…」
陵王の話を耳だけで聞いていた旺季が、筆を止めて顔を上げた。
「あぁ。主上が落ちたその時、落とした紅邵可たちに付いて同じ場にいながら、まだどちらの味方でもないと生ぬるいことをほざいているがな。それに…」
「なんだ?」
「もう一人、厄介なのが…厄介というか、とんでもないというか…」
「誰だ?」
「迅が育てた藍家の姫」
「後宮の筆頭女官か!?」
陵王はニヤリと笑い、文をポイと旺季に向かって放り投げた。
それは、十三姫が馬で乗り付けて来て投げつけた抗議文だった。
机案に放り投げたそれと陵王をチラリと見て、興味なさそうに文を読まずにポイと横に置いた。
「あの嬢ちゃん、すげーぞ。そんじょそこらの武官よりよほど強い。馬で乗り付けてきて、止める武官たちをまさにちぎっては投げ、だな。で、こう怒鳴られた」
キセルをポンと打ってからコホン、と咳払いをし、十三姫から言われた言葉を、一言一句違わず伝えた。
聞いた旺季はボトッと筆を落とした後、三拍きっちり固まってから、黙って文を開き、読み終わった時には頭を抱えていた。
旺季は最後に、気になっていたことを訊いてみた。
「…悠舜は、どうしている?邸に帰ったのか?」
「あ。それそれ。俺も気になっていたんだよ。役目が終わったからっつって、邸に戻っているかと思ったら、姿がねぇっつんだよ。凜夫人一人だけでよ…皇毅を使って凜夫人と交流があったっぽい紅春麗に聞かせたんだが、微笑むばかりで知らない、と」
「皇毅が紅春麗と?ふむ…まぁいい、ところで…陵王、晏樹はいるか?最後に見たのはいつだ?」
「晏樹?いや…そういやみねぇな。あいつなら真っ先に旺季様ーっつって、ワンコロみたいにまとわりついて俺を追っ払いにかかりそいうなのに。…そういや、皇毅が紅春麗に凜夫人と悠舜のこと訊いたときに、凌黄門侍郎なら何かご存知そうですね、って言ってたって…おいおいちょお待てや。まさかあいつが悠舜を…いや、やべ。すっげやりそう!!」
「今すぐ探してくれーー私も。だがなぜ紅春麗が晏樹を?」
旺季の一言に、孫陵王も確かに、と首を傾げた。