紫闇の玉座−3
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「そ、そこの馬、止まりなさい!!」
「問答無用、おどき!」
十三姫は外朝を馬で爆走する。
止めに入る武官を片っ端からぶん殴り、棒で峰打ちにして走る。
後ろを、黄色い衣の仮面と紅色の官服に身を包んだ二人乗りが追っかけていくが、全て十三姫に打ちのめされているので、彼らには見送ることしかできない。
春麗は宋太傅から投げられた刀を、いつ使おうか握っていたが、どうやらこのままだと出番はないようだ。
「十三姫…馬の腕もすごいな…そこらの武官よりよっぽど上じゃないか?」
「鳳珠様、大丈夫ですか?」
「あぁ、心配するな。お前を落とすような無様な真似はしない」
鳳珠は正直、春麗が戦いながらだとうまく馭せるか心配していたが、これなら問題なさそうだと余裕で仮面の下で微笑んで伝えた。
御史台についたときには騒ぎは大きくなっていて、長官である葵皇毅が外に出てきていた。
「…お前が十三姫か、何用だ?」
「葵!皇毅!二度と王の許可なく後宮に踏み込んだら許さねぇからな!王ひとりろくすっぽ守れないならやめちまえ、股のもんチョン切れ!!」
ばんっ、と抗議文を葵皇毅の胸元に投げつけ、くるりと馬の首を返して出ていく。
「・・・・・・」
あっけに取られた皇毅をはじめとした御史たちをよそに、ふっと鳳珠は笑って、十三姫を追いかけた。
次に向かった先は兵部尚書・孫陵王。
同じように啖呵を切って走り去る。
ただし、鳳珠は行き先が兵部と分かった時点で、馬を乗り捨てて徒歩に切り替えた。
どのみち自分がいたことは後で葵皇毅から伝わるだろうが、十三姫が何をするか、どう言うか既にわかっている以上、馬のままいてはいけないと思ったのだった。