紫闇の玉座−3
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宋太傅と十三姫が後宮周りで後片付けと称して敵を排除している間に、春麗は抗議文を書き上げた。
「見てくださいます?」
渡された鳳珠は最後まで読んで、吹き出した。
「いや、なかなか…な文だな。少々、言葉遣いが荒くないか?」
「そんなに笑わなくても…十三姫だと思って書いてみましたの。後で添削していただきましょう」
話しているうちに、だいたいこのあたりは終わったと十三姫が戻ってきて、春麗が書いた文を見た。
「あら、私がいいそうな文言になってるわね、ちょっと手ぬるいけど」
「手ぬるい!?」
鳳珠と春麗が顔を見合わせて驚く。
「まぁ、いいわ。これで署名して、押印して、っと…さぁて、これから馬で乗り込むわよ!春麗ちゃん、一緒に来てちょうだい!」
「馬っ!?ちょっと、わたくしたち、そこまでは…」
「何言っちゃってんの!?口ではいくら中立と言っていても、あの場にいた時点でどうにもならないわよ。さぁ、黄尚書も早く!」
「「…」」
「私、外朝に顔が売れてないから、高官の二人がいてくれたほうが突破しやすいのよ、早く、そこの馬に乗ってちょうだい!」
いや、その衣の色でわかると思うけど…とは思ったものの、夜目には無理かと気付き、はぁ…と鳳珠はため息をついた。
隣の春麗を見下ろすと、困った顔で見上げて「あの、わたくし、馬は…」と呟いているのが聞こえた。
吹っ切ったかのように首をふるふると振ってから、鳳珠はニヤリと笑って春麗を抱き上げ馬に乗せた。
「キャァ」
「大丈夫だ、私が支える」
鳳珠も乗り、後ろから横座りさせた抱き抱えるようにして春麗を支えた。
「え?春麗ちゃん、馬乗れなかったの?これから毎日、稽古つけてあげるわね。さぁ行くわよ!」
駆け出していった十三姫を、鳳珠は慌てて追う。
駆け出す寸前に、近くの武官からぶんどった刀を春麗に投げ渡した宋太傅が笑いながら見送った。