黄金の約束−1
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(あまちゃん王に、うっかり花を受け取った紅藍両家のしがらみが強い若い側近…考えを推し進めるのはいいけれど、自分たちだけで決めて進めるにはあまりに危険すぎる…)
考え事をしながら吏部に戻る。
「天寿、仕事が終わったよ!」
満面の笑みの紅尚書、もとい黎深叔父様に迎えられる。
「どうしたんだい?何か考えている顔をしているね?」
”天つ才”と言われる叔父様には隠し事はできない。
ピシッと扇で顔を指されてビクッとするが、でも悩んでいる内容をそのまま伝えるには、まだぼやっとしている気がした。
「えぇまぁ…でも、何が悩みなのかよくわかっていないのです。もやっとしている感じで」
隠したところでお見通しなので、ありのままの正直な気持ちを伝えてみる。
「春麗、好きなようにしなさい。君が”ちゃんと考えて決めたこと”であれば、私は何も言わない。ただ、いつも言っているが、無理はしないこと、自分を大切にすること、これだけは約束してくれ」
「叔父様、ありがとう」」
「さぁ、仕事は全て片付いた。府庫に行って、兄上とお茶をしよう!春麗の好きな菓子も用意させたぞ!」
満面の笑みで春麗をずるずると引っ張って府庫へ行き、大好きな兄上とのお茶を満喫した黎深の世話をして、春麗の侍童一日目が終わった。
帰ってから、食卓を囲む。
「いや〜黄戸部尚書、なかなかすごかったな!」
「何と言っても、あの仮面姿よね、びっくりだわ!絳攸様が、有能・奇人・謎な人、って言ってたけどその通りだったわ!仕事の振り方、ハンパないのよ!ものすごい勢いでやって、何とかギリギリ終わった感じ」
疲れ切った顔で帰ってきた秀麗の代わりに調理をしたものを並べていく。
「春麗は余裕、って感じね。吏部はどうだった?」
(まさか尚書に仕事させてお茶してた、とは言えない)
邵可と目を合わせて苦笑いする。
「そうね、戸部とはだいぶ違うみたい」
曖昧に答えて終わらせる。
「あんなに馬車馬のように仕事しているのに、お茶の時間だけはあるのよ」
「あの菓子、うまかったな」
(よかった…ちゃんと休憩してくれているんだ)
繋がりが残っていることが嬉しくて、心がポッと暖かくなった感じがした。
「へぇ、黄尚書がお茶の時間、ね」
邵可がめずらしく口を挟む。
「かなり合理的な方で仕事人間だから、そういう時間はないかと思っていたけれど、休憩時間があるのはよかったね」
「何でも、春にきていた侍童の子が、お茶休憩を導入したらしいわよ。景侍郎が”仙術を使ったとしか思えないんですよ”って言ってたけど、あの黄尚書に意見できるなんてすごいわよね」
ゴフッ
「大丈夫ですか?春麗お嬢様?」
静蘭がお茶を淹れてくれる。
「あ、ああ、ありがとう。ちょっとお腹空いていてがっついたらむせちゃった」
「珍しいわね、春麗」
(これは…明日にでも戸部に顔を出さないと、変に伝わると面倒だわ)
明日の予定が確定した瞬間でもあった。