紫闇の玉座−3
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「どこが、綺麗に、穏便にだ。中立の羽羽を殺し、宰相の悠舜を暗殺しようとしたことがか」
孫陵王の足が止まった。眉間に寄せいた皺に、苦味が過ぎる。後ろめたさ。
「…あれは」
「余への非難や誹謗中傷ならいくらでも受ける。だが羽羽や悠舜を狙ったことは、断じて認めない。どこが綺麗で穏便だ。ここで余が黙って旺季に禅譲すれば、王や側近たちを殺せば権力を握れると、朝廷中に再び知らしめるのと同じではないか。それを余に証させようと言うのか。それは今までと何が違う。ーー全て殺して終わりにした大業年間のやり方と同じではないか!」
それは今まで一度たりとも聞いたことない、劉輝の大喝だった。
邵可は目を見開いた。
他ならぬ陵王と話していた時に、確かに自分で言った。
かけたものが埋まる時が来たら、もしかしたら…と。
ふと春麗に目をやると、春麗も邵可を見ていた。
あの時の会話を、木の上で聞いていたのだろう。
「…で、逃げてどうする?言ってみろ、逃げて、何かいいことでもあるのか?」
「余は…」
「…お前の問いは俺にはわからん。だが旺季ならきっと知ってる。お前の問いに答えられる。その世界を見せてくれる。だから俺はあいつを選んだ。口だけで答えがないのなら、お前は旺季には遠く及ばない。ーー違うと言うのなら、答えを示せ。俺や旺季以上の答えを」
孫陵王は三拍だけ待ち、それ以上は待たなかった。
十三姫と楸瑛、皇将軍を一瞥する。
三対一。紅春麗はおそらく出ない。そして紅邵可が出るのはおそらく最後。
「三対一か。懐かしい数だぜ。前と違って役者が不足してるがな…抜けると思うなよ」
「ーーなら、わしはどうだ」
ずん、と地面を打つ音が響いた。
孫陵王はちょっとばかり嫌な顔をした。