紫闇の玉座−3
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春麗たちが後宮に着いた時に聞こえた第一声は、白雷炎の怒号だった。
「アホかてめぇ!裏切ったやつに何が体を大事にだ。宰相じゃ情報ダダ漏れじゃねーか!!」
(裏切り者?悠舜が去った?)
鳳珠は少し遅かったか、と仮面の額に手を当てた。
代わりに、春麗が声を掛ける。
「白大将軍?」
「黄尚書、に紅…侍郎?どうしてここへ…」
その言葉に気がついていながら、劉輝は
「…ならば、頼む。白雷炎。余の最後の頼みだ」
と話を戻した。
とりあえず、鳳珠と春麗は静観する。
どうやら、悠舜は去っていき、白大将軍は劉輝に付く、という話だった。
ふと騒がしさから顔を上げると、外に広がりつつある松明の数と怒号に、白雷炎が顔を顰めていた。
「仙洞官の件で血迷ったバカがなだれ込んできたな」
代わりに鳳珠が口を開く。
それに同意する形で、雷炎が続けた。
「あぁ、楸瑛と皇子竜が向かえばすぐに鎮圧できる。さっきの兇手がいたとしても、まぁ私兵の数百人程度、右羽林軍で充分おさめられる」
「…白雷炎、すまぬ、戦わないでくれ。それと、さっきの願いをたのむ…行ってくれ」
雷炎は黙って踵を返した。
歩き出そうとしたところに、入れ違いで数人駆け込んできた。
「劉輝様!ご無事ですか?」
「すっごい悲鳴聞こえたわよ!?あっそこのあんた!!こんなとこまで侵入して!!朝廷でボコボコにされている王をこれ以上ボコるなんて血も涙もねー虎皮ムサ男だわ。そこへ直れー!!ってか、え??仮面???」
(と、虎皮ムサ男…)
ここは突っ込んでいる場合ではない、と鳳珠と春麗は顔を見合わせて笑いを堪える。
ちなみに仮面は言われ慣れているので、ここでは大きな問題ではない。
「ずるいわ。仮面」
と小声で春麗は言って、鳳珠の袖を掴んで笑いを堪えた。
「う、うわー楸瑛の妹、早まるな!それは近衛の大将軍だ!そっちの仮面は戸部尚書だ!」
絳攸が遅れて走り込んできて叫んだ。