紫闇の玉座−2
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羽羽殺害の犯人である仙洞官はーーこの三年、誰もが劉輝に向かって言わなかったことを、真正面から聞いた。
「羽羽様が諫言しないなら、僕がいう。羽羽様を殺してでも。それが仙洞官の義務だ。そうでしょう、リオウ様。過ちは誰かが正さねばならない。これ以上悪くなる前に。どこが間違っていますか?それともあなたは本当に紫劉輝こそ他の誰より王にふさわしいと、お思いになっているとでも?旺季様のたった一人のお世継ぎ、蒼家の璃桜公子?」
ざわ、とその場がどとめいた。
リオウは息を呑み、目を丸くした。
「蒼家と縹家の、誰より濃い血を継ぐリオウ様。血筋を重んじる仙洞省が選ぶべきは、旺季様とあなただったはずだ!羽羽様は老いて、目が曇られた。血統を戻すべきだ。より正しい血に」
いつかは誰かが言うはずだった声。
それが今日来ただけだ。
受け止めて、どうするかは、それぞれが決める。
楊修は眼鏡の向こうを見た。
景侍郎が悠舜を振り仰ぎ、管尚書はため息をついた。
だが他の大官は黄尚書の仮面のごとく、一切の表情を消した。
そして、紅春麗に目を向けると…仙洞官ではなく、表情を変えないまま、リオウをじっと見ていた。
王はまだ処刑の命令を出さない。
悠舜は珍しく、迷った。
「あなた様は縹家の血も継いでおられる。仙洞省を蔑ろにはなさいますまい。蝗害を抑えるものこそ八仙に守護厚き本物の王と言われる。それを成したのは誰だ。紫劉輝ではなく、旺季様だ。それが全てだ。ーー赤き星に従い、玉座の交代を仙洞省は申し上げる!!」
悠舜は羽扇を打とうとした。
機先を制してリオウの手が仙洞官の口を音高く塞いだ。
「ーー黙れ。仙洞省の長は、この俺だ。貴様ではない」