紫闇の玉座−2
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「まさか羽羽様がこのような時にお亡くなりになるとは…」
数日後、邵可は後宮で軟禁状態のままの百合の室で歩き回った
「邵可様…羽羽様を殺害した仙洞官の公開尋問が今日行われると聞きましたが…」
「ああ、君はまだ謹慎中だし、私も退官してしまったから見に行けない。蘇芳くんに任せるしかないが…亡くなる直前まで近くにいたという春麗が何か知らせてくれるかもしれないね」
邵可は絳攸と百合に伝える。
「春麗はなんで羽羽殿のところにいたのでしょう?」
絳攸が素朴な疑問を口にした。
「さぁ…あの子は秀麗とはまた違ったきっかけで、どういうわけだか、高官と交友関係があるからね。あの子の話では羽羽殿のところにも出入りしていて、リオウ殿とも面識があるようだ」
「そういえば、葵皇毅殿とも知り合いのようでしたね」
よくわからないが、などと春麗の話題に切り替わる。
程なくして、十三姫から紅本家からの文を渡された。
影を使ったものではなく、公式に鷹匠を使って送ってきたものだ。
百合が緊張の面持ちで低く聞く。
「紅風と、蝗害は?」
「…例年より三日早く吹いた。だがほぼ完璧に抑え込んで、蝗害収束の宣言が出たーー縹家が動いた。全社寺が朝廷に全面協力して、蝗害救済に動いた」
「それは…まさか、朝廷で縹家を動かしたものがいる、ということですか」
「だろうね、多分、悠舜殿と旺季殿だ。裏で使者を出して、あの縹瑠花を動かした。動くかどうか半々だから黙っていた、というところかな。この辺りは春麗に聞けばもう少し具体的にわかるかもしれないね」
「…では、すべて、旺季殿の手柄、ですか」
「でもねぇ、一つ朗報。多分、瑠花を動かした中には、うちの娘も入っていると思うよ。秀麗が縹家から紅州に帰ってきて、旺季殿や縹家の人たちと一緒に、あちこち駆けずり回ってたっていうから。だから手柄はギリで半々」
百合は最後まで文を読んだ。
九華が黎深のことを一言も書いていないのが気になった。
書いていないことによって、後々何かあるかもしれない。
「さて、公開尋問の様子は、春麗か蘇芳くんを待ちましょうかね」
百合の一言に、邵可はなぜ悠舜が公開尋問にしたのかーーどうして悠舜が止めなかったのかが気になった。
が、公開尋問はそれどころではない事態に発展していた。