蒼き迷宮−2
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明け方にふと目が覚める。
少し動くと、腕の中の春麗が小さく身じろいだが、すり寄ってきただけで、まだ夢の中のようだ。
ふっと自分の表情が緩むのがわかって、鳳珠は口の端を上げた。
それから窓のほうに視線を向けると、まだ外は暗く、大して眠れていないことに気がついて、小さくため息をついた。
昨晩の旺季の言葉が蘇る。
早く目覚めてしまったのも、このせいだろう。
今の王に…覚悟はない。
彼につくことが、自分が官吏になるときに目指した国の姿ではない、ということを旺季はわかっていて、敢えてあの言葉を残したのだろう。
だが…
(争いは、別だ)
争うつもりはない、と言っていても、仮にそれで話がつかなかった場合には結局争いになる。
被害に遭うのは、民だ。
それだけは望まない…
そしてもう一つ…
腕の中の最愛の人だけは守る…
春麗の額に誓いのように口付けてから、そのためにも、黄家の考えとは異なっても、争いになることには同意はできないと、あらためて思いながら、もう一度瞳を閉じた。
明けない夜はない。
だが、まだ暗い時間は続くようだった。