蒼き迷宮−2
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
各州から次々ともたらされる早馬の一報に、緊急朝議は連日夜を徹した。
だが実際は兵馬の権が旺季にうつったことで、重要事項の決定権はほとんど旺季と孫陵王が握ることとなった。
「碧州はバッタと地震で陸の孤島でめちゃくちゃか…各郡府と州府が寸断されたな。指示系統が消えて、州軍も民も混乱状態だろうなーーおい皇毅、ケイナちゃんはどーしたぁ!?」
「…碧州州牧の彗茄殿はいち早く各被災地域を飛び回って指示を出している最中、頻発する地震に巻き込まれた母子を助けて崖下へ落下。崩落した石の下敷きになり…行方不明、とのことです。すでに半月が経過、生存は絶望的との報告が来ています」
水を打ったような静けさが落ちた。
彗茄は旺季や孫陵王と同じ世代の名臣、大官として超一流だ。
「マジかよケイナちゃーん。こおクソ忙しー時にナニ死んでんのさー。どうりで情報が遅いわけだぜ。ーおるぁハナタレども、ケイナが死んだからってボーゼンとしてるな!」
我に返ったように鳳珠や柚梨は身じろいだ。
この非常時に彗茄の代わりを務められる者は…
春麗は(ケイナちゃん??)と思いつつも、後での確認事項として心に留めておくにとどめた。
孫陵王は高官たちの顔を一瞥し、王にチラリと視線を向けた後、悠舜と旺季に顔を向けた。
話ができる。と一瞥して判断した相手に。
「彗茄の代わりはまだ若手の州尹じゃ無理だ。俺か皇毅が碧州へいく」
「だめです」
悠舜と旺季は同時に却下した。
(でしょうね…御史大夫が抜けたら中央官吏の不安を煽ることになるし、兵部尚書は…侍郎不在の兵部で上が抜けたら軍の統制が取れない…)
扇を口に当てて春麗は考える。
同じことを、旺季が言ったので、ニヤリと口角が上がるのを扇開いて隠した。
旺季がチラリとその様子に視線を送って、一瞬目を細めた。
「でもな、他に誰が行ける?晏樹も悠舜も行かせられねぇぞ。清雅は能力はあるが、如何せん官位が低すぎる。誰もいうことをきかねぇ。特に碧家がな」
「いや、他に適任がいる。官位も年も申し分ない。だが先に鄭尚書令の意見を聞こう」
旺季の視線に悠舜が静かに頷いた
「臨時の碧州州牧として、工部侍郎欧陽玉殿を推します。彼が適任かと思います」
周囲が「その手があったか」と驚く中、春麗はすっと目を細めた。
非常事態においての土地勘、官位、家柄ー彼をおいていないと思っていたからだ