蒼き迷宮−1
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(誰かが黎深叔父様の背中を押さないと自ら動くことはできないかもしれない…叔父様に忌憚なく意見を言うことができる豪胆さがある方…その”誰か”は悠舜様を第一に考えている鳳珠様じゃない…近い飛翔様も違う…)
春麗が頬に手を当てじっと考えているのを、百合は注意深く見ていた。
邵可が声をかけようとするのを、手で制して首を振る。
こういう時の春麗の邪魔をすると、考えが飛んでしまうことを知っていたからだ。
(来尚書…たしか叔父様が逃げると聞いた気がする…ダメだわ。あとは藍州の姜州牧と紅州の劉州牧…劉州牧は確か蝗害の話の時に空井戸に食料を埋めるぐらいやりかねない、と鳳珠様がおっしゃってた…可能性があるとすれば、物理的に直接乗り込んでいただける劉州牧しかいないかもしれない…!)
ハッとした表情で顔を上げた春麗を見て
「何か思いついたわね」
と百合が口の端を上げて言った。
「…正直、うまくいくかはわかりませんが。叔母様、紅州の劉州牧はどんな方でしょう?」
「そうねぇ…聞いているのは元兵士、国試派。黎深たちの国試の時にいたみたいなんだけど、その時は名前がなかったみたいで一度消えたとか?あまりよく知らないけど仲間ではあるみたいね。州牧として引っ張っていく力はあるわね。結構歳は上だけど、お化粧とかしていて綺麗よ」
「…」
「玖琅の印象だと、豪胆さと繊細さが同居している感じ、って言ってたわね」
「…わかりました、ありがとうございます。鳳珠様にも少し聞いてみますわ…父様の言う通り、叔父様が自身で解決しないことだとは思うのですけれど…後押しする人が必要かと思って。劉州牧が悪夢の国試組なら、伝手として鳳珠様の力もちょっと借りたいと思っています。もし動いてくださらなかったら、その時は百合叔母様にお願いしますわ。また来ますわね」
春麗はパタパタと出ていった。
「全く、あの子は…秀麗とは全く異なる動きをするけれど、同じようによく動くね」
「物事をしっかり考えてから動くから、紅家のことを任せるとなったら春麗でしょうね。でも、鳳珠さんがいる限りは、あの子はそれを望まないんだろうから、玖琅の子たちになるんだろうけど」
邵可と百合が走り去る春麗の後ろ姿を見ながら、苦笑いして話していた。