蒼き迷宮−1
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鳳珠からあらましを聞く。
だいたい、少し前に話していた内容から、春麗が予想していた範疇ーー戦を起こす準備があることと、残ることを選択したなら王は見かぎり、貴族派につくように、というようなことが書かれているようだった。
「随分と具体的に情報が流れていますのね…わたくしのことは大丈夫。何度でも言いますけれど、鳳珠様がしたいようにしてください。貴方が選んだ道に、わたくしはついて行きます」
「お前自身の意志としてはどうなんだ?」
「主上か旺季殿か、と言うことでしょうか?」
具体的に名前を出すと、鳳珠は黙って頷いた。
「主上がいまだにあまりにもダメダメなのは、変わらずですよね。きっと、王様としては旺季殿の方が何事においても優れていらっしゃるでしょう…ですが、どちらの国が見たいか、と言われたら、正直、まだわかりません。先ほど、鳳珠様がおっしゃっていたように、民のためにどちらがいいか…わたくしにはまだわかりかねます」
「そうか…」
「貴族派と国試派の対立、というのはあると思いますが、貴族派が旺季殿によって取りまとめられていますし、実際に優秀な方が要職に就かれているのも事実です。派閥以上に、”何をなすべきか”を考えて決めたいところですね。魯尚書の進士教育と同じです」
一息ついて、「鳳珠様は?」と尋ねる。
「私も…そうだな…今回の件、裏側に貴族派の誰かー間違いなく高官がいるだろう。凌晏樹あたりか、誰か知らんが、その辺が何か工作しているのは事実だ…」
「たとえば…悠舜様とか…」
「おいっ」
鳳珠の目つきが鋭いものに変わる。
「いえ、悠舜様を疑っている、というわけではないんです」
春麗は咄嗟に小さく嘘をついた。
「ただ、計画があまりに壮大すぎる…起こるべくして起こったのかもしれませんが、相場を動かし、紅藍両家を堕として七家を締め、地震はともかく蝗害対策で兵馬の権を取る…もちろん、一人でなさったのではないでしょうけれど、凌黄門侍郎がお一人で描くには壮大すぎると思ったんです。悠舜様に匹敵するぐらいの方じゃないと、全体像を描けないのではないかしら、って」
鳳珠は眉間に皺を寄せた
「確かに、言われてみれば凌晏樹一人の計画としては大きすぎるな。旺季や葵皇毅が入ったとしても、全体を描いていくにはあまりに大きい…悠舜を疑いたくないが、悠舜ならできる、いや、悠舜しかできない、とも思う…」
「あともう一人…できるとしたら黎深叔父様でしょうね、まぁ最も今回は関係ないですし、それに黎深叔父様より悠舜様の方がずっと上手ですわ」
はぁ、と鳳珠はため息をついた。
「鳳珠様がもう少し引っ張れるなら、答えはまだ出さなくていいのではないでしょうか?蝗害対策もまだこれからです。もう一波乱、二波乱ぐらい起こってもおかしくないと思いますわ」
「頭の痛いことだな…」
なんだかひどく疲れた気がして、鳳珠は大きく息を吐いた。